中国経済が長期にわたる低迷を続ける中、新卒の大学生が直面する就職市場はさらに厳しくなっている。研究によると、2024年には、卒業生の半数以上が卒業と同時に失業のリスクがあると指摘されている。中国の大学は6月に卒業式を迎える。
中国の主要な求人サイト「智聯招聘」が5月に発表した「2024年大学生の就職状況調査報告」によると、4月中旬の時点で、卒業生の48%のみが非公式ながら仮の内定を獲得しているだけであり、前年と比較しても就職状況は悪化している。
米国の経済学者黃大衛氏は、「中国の就職市場は極めて厳しい状況にあり、企業の利益率は低下し続け、輸出は低迷し、国内消費、投資、不動産市場も同様に苦境に立たされている。これらの状況が重なり、大学生の就職難は一層深刻化している」と分析。
報告によれば、卒業生の過半数(51%)が職の安定性を最優先視しており、国営企業への就職を希望する割合がこの5年で上昇し、2020年の36%から今年は47.7%へと増加している。対照的に、民間企業への就職を求める卒業生は5年連続で減少し、2020年の25.1%から今年は12.5%へと低下した。
黄大衛氏によると、「中国では一般市民の昇進の機会が限られており、社会的資源は特定の国営企業や中央企業が独占している状態で、これらの企業は専門知識を重視せず、リーダーも専門的ではないため、専門知識を持つ人材は不適合と見なされがちである。彼らが重んじるのは忠誠心であり、その結果、能力と知識を持つ人材の就職は困難で、社会的資源の無駄遣いが問題になっている」と述べた。
専門家達は、中国本土の実際の失業率が、中共(中国共産党)が発表する統計よりも遥かに高いとの見解を示している。
台湾の南華大学の孫国祥教授は、高い失業率が示すのは、中国大陸で高等教育を受けた人々の半数以上が社会に貢献していない現状であり、これが社会資源にも悪影響を及ぼしていると指摘。さらに、この問題は国家経済の持続的な成長にも連鎖的な影響を与えかねないと警告している。
専門家たちは、中共が若者の失業を、政治的にデリケートな問題とみなし、若者の広範な失業が、独裁政権にとっての脅威だと懸念していると述べている。
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