【ジュネーブ発】中国は、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会の会議で、西側諸国が主導する人権改善勧告を拒否した。勧告には、香港や新疆ウイグル族の自由拡大が含まれていた。
ロイター通信とVOA(ボイスオフアメリカ)によると、今月4日(現地時間)の会議では、中国の人権改善努力に関する審査が行われた。この審査は、2022年に国連が発表した「中国新疆地域のウイグル族およびムスリムの拘束が、人道に対する犯罪に該当する可能性がある」とする報告書に基づいている。
モロッコ代表であるマル・ズニバー議長は、中国が国連から提案された400件以上の改革勧告のうち70%を受け入れたと評価したが、西側諸国の代表はこれに反発。人権弾圧に関する部分が改善されていないとし、「誤解を招く数字」と批判した。
人権理事会の米国代表であるミシェル・テイラーは、「新疆では多数のウイグル族が集団虐殺と反人道的犯罪の被害に遭っている」と述べ、中国が人権と基本的自由を尊重するよう国際社会が求めているにもかかわらず、これを拒否し続けていると非難した。
英国代表のサイモン・マンリーも、「中国は英国の勧告をすべて拒否した」と指摘し、「中国政府は深刻な人権侵害が行われていることを否定し、国連の信頼できる評価を『違法かつ無効』と主張している」と述べた。
一方、ロシア代表やガンビア代表などは「建設的なアプローチ」として中国の進展を肯定的に評価した。ガンビアは2013年に英連邦を脱退し、2016年に中国との外交関係を再開。2018年には中国主導の一帯一路構想に参加し、橋や道路の建設を行っている。
中国は新疆ウイグル族弾圧やムスリム弾圧などの人権侵害を否定し続け、西側の陰謀だと主張している。中国代表の陳煦(ちんく)は、「中国では人権分野の進展が日々進んでいる」と述べ、西側の勧告について「虚偽情報に基づいており、政治的動機やイデオロギーに偏っている」と非難した。
また、ロイター通信は、「中国の国連勧告70%受け入れ」という数字について、中国側のロビー活動の結果であると報じている。中国は国連人権理事会に先立ち、非西側諸国の代表者に対し「建設的な勧告をしてほしい」と要請し、勧告受け入れ率を高めるためのロビー活動を行ったとされる。
国連人権理事会は、全世界各国の人権状況を監視し、特定の国に限らずすべての国に対して改善点を勧告する手続きを実施している。中国は2022年に国連人権高等弁務官事務所が中国の人権状況に関する討論を開催しようとした際、これを阻止するために外交力を行使したことがある。
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