中共(中国共産党)とロシアは、南シナ海での合同軍事活動を強化している。これによりアメリカ、日本、フィリピンなどの国々の懸念を引き起こし、西側諸国が専制政権の結束を警戒する可能性が高まっている。
中共の官営メディアによると、中露は南シナ海で初めて実弾海軍演習を開始した。これは両国の軍隊がこの争議の多い海域で、合同演習を行う初めてのことであり、近年における中露軍事協力の強化の反映である。
中共の官営メディアは、両国の艦艇が7月14日(日)に広東省湛江の軍港に集結し、15日(月)~17日(水)の間に複数の軍事演習を実施すると報じた。演習のテーマは「海上安全保障の脅威に共同で対処する」というものである。
演習の内容には、合同偵察警戒や実際の武器使用が含まれている。また、外部の報道によれば、この演習の重点の一つは、敵の潜水艦を模擬した標的の破壊である。ロシア海軍の太平洋艦隊は「敵潜水艦」について具体的な情報を明らかにしていないが、演習が南シナ海で行われていることを考慮すると、目標はアメリカの潜水艦である可能性が高い。
同じく7月14日、別の中露合同海軍艦隊が南シナ海に入り、中露間で4回目となる海上合同巡航を実施した。
今月初め、中露海軍は西太平洋および北太平洋で巡航を行った。現在、活動地域は南シナ海に移っている。
巡航に加えて、両国の海軍は現場検査、拿捕、ヘリコプターの着艦演習も行った。
中露の合同活動は、アメリカ主導の多国間合同軍事演習「環太平洋合同演習(リムパック」(6月27日~8月1日)期間中に行われており、国際的な注目を集めている。このため、日本の海上自衛隊も艦艇と航空機を派遣し、中露の動向を密接に監視している。
日本統合幕僚監部(JSO)が発表した情報によると、過去1週間にわたり、中共とロシアの監視装置が日本近海で運用されていた。
フィリピンも、北京との争議問題海域での最新動向に対し、警戒を強めている。フィリピン海軍の報道官、ロイ・ビンセント・トリニダド(Roy Vincent Trinidad)氏は7月16日(火)の記者会見で、フィリピン海軍は中露の演習を注視していると述べた。
彼は「最近、フィリピン海域で行われた演習は我々の排他的経済水域を超えていますが、我々は監視を続けており、彼らの活動を把握しています」と述べた。
これまで中露の軍事協力は主に日本海と東シナ海に集中していた。今回の南シナ海での活動は、中共の習近平党総書記とロシアのプーチン大統領が7月3日にカザフスタンで会談した結果である。両者は南シナ海と台湾問題で立場を一致させた。
プーチン大統領は当時、「ロシアは中国の核心的利益と正当な権益を守ることを支持し、外部勢力が中国の内政に干渉し、南シナ海問題に介入することに反対する」と述べた。
中共は南シナ海をその核心的利益と位置づけており、北京が主張する「九段線」は南シナ海全域をほぼ覆っている。このため、中国とフィリピン、ベトナムなどの国々との間で南シナ海領土問題における対立が続いている。
最近数か月、中共の海警船はフィリピンの船舶に対して水砲を発射し、フィリピンの海上前哨基地への補給任務を妨害している。
先月、中共の海警船は南シナ海のセカンド・トーマス礁(仁愛礁・あいにんしょう、南沙諸島の一部で、フィリピン・アユンギン礁と呼ばれる)付近で意図的にフィリピン海軍の船舶に衝突した。この事件で、中共の海警船はフィリピン側が箱に収納していたM4ライフル8丁、ナビゲーション機器およびその他の物資を押収し、フィリピンの乗組員数人を負傷させ、そのうち一人は右手の親指を失った。
緊張が高まる中、アメリカの高官は北京に対し、米比相互防衛条約の義務は堅固であると繰り返し警告している。
中共の脅威に対応するため、日本とフィリピンは7月8日に「相互円滑化協定」(RAA)を締結し、両国の軍隊が互いの国に入って合同軍事訓練を行うことを可能にした。これにより、日本の自衛隊とフィリピン軍は南シナ海などで合同演習を行うことができるようになった。
今年4月には、アメリカ、日本、フィリピンのリーダーがワシントンで三国サミットを開催し、南シナ海での中共の活動に対する「深刻な懸念」を表明した。共同声明によれば、三国はインド太平洋地域で、合同海軍演習を行うことに合意している。
今年5月、オーストラリアなどの国々は、南シナ海およびその他の地域で、さらに多くの海上演習を実施する計画を発表した。
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