米司法省は7月22日、中国籍のミンスー・ファン(48歳、別名「フェルナンド」)が、アメリカに2千キログラム以上のフェンタニル前駆体を輸入した疑いで起訴されたと発表した。
検察当局によると、ファン被告とその共謀者は、フェンタニルの前駆体を中国からアメリカに輸送し、その後メキシコの共謀者に再発送していたとされる。2023年8~10月の間に約100回の発送を行っていた。
米司法長官のメリック・ガーランド氏は、「我々は数百万のアメリカ人を殺すに足る量のフェンタニル製造の原材料を輸入したとして、被告を起訴した」と述べ、「フェンタニルはアメリカがこれまでに直面した中で最も致命的な薬物の脅威であり、司法省は世界的なフェンタニル供給チェーンのあらゆるつながりを断つことに全力を尽くしている」と強調した。
米疾病対策センターのデータによると、2023年にアメリカでフェンタニルによる死亡者は約7万5千人となり、前年の約7万6千人からわずかに減少した。
ファン被告を6月19日にニューヨーク市で逮捕した。7月22日、テキサス南部地区の米国連邦検事アラムダー・S・ハムダニ氏はフェンタニル前駆体の押収とファン被告の逮捕を発表した。
ハムダニ氏は声明で、「この押収により、数百万の致命的なフェンタニル含有ピルの生産を防ぐことができた」と述べた。
また、麻薬取締局(DEA)のアン・ミルグラム局長は、「アメリカがこれまで直面した最も致命的な薬物の脅威を終わらせるため、DEAは、中国の化学企業とフェンタニルを製造・販売するための化学物質を販売している個人に焦点を当てている」と述べた。この押収は「アメリカにおけるDEAのフェンタニル化学物質の最大の押収の一つである」と強調した。
5月、アン・ミルグラム氏は、議会での証言で、中国の薬品・化学物質の企業およびマネーロンダリング組織が、フェンタニルのアメリカへの密輸の背後にメキシコのカルテルがあると述べている。
その1か月前、議会の調査で、フェンタニル製造に使用される化学物質の97パーセントが中国産であることが判明した。
検察側によると、ファン氏とその共謀者は、アメリカのデミニミス規則(800ドル未満の小包に対する免税措置)を悪用し、800ドル未満と申告して通関検査を回避し、低価格の輸入品と混ぜたという。
司法省の声明には「その結果、各貨物は、個々の内容物の詳細な検査が行われることなくアメリカに持ち込まれた」と記されている。
裁判所の文書によると、前駆体は1-Boc-4-ピペリドンと(2-ブロモエチル)ベンゼンだった。4-ピペリドンは規制物質法のリストI化学物質に指定されており、(2-ブロモエチル)ベンゼンはDEAの特別監視リストに掲載されている。
2023年8月18日、連邦捜査官がニューヨークで約550ポンドの先駆体を押収し、これが最初の押収となった。ファン被告はDEAの情報提供者に対し、1キログラム62ドルでフェンタニル前駆体を販売することに同意していた。
司法省によると、ファン氏は「規制物質を流通させる目的で保有する共謀、違法輸入目的で規制物質を流通させる共謀、規制物質を輸入する共謀、規制物質を輸出する共謀」の4つの罪に問われている。
有罪となれば各罪で最高終身刑と1千万ドルの罰金が科される可能性がある。
大紀元は司法省にコメントを求めたが、記事掲載時までに返答はなかった。
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