中国貴州省のある学校で撮影された動画が物議を醸した。
そこには採血を受けるために並ぶ学生たち(新入生)の姿があり、この学校(貴州鋁業技師学院)では新入生は採血を含む健康診断を受けなければ入学できない規定になっているのだという。
「子供たちの生物学的情報を収集して何に使うのか?」「子どもたちが臓器狩りの被害者になるのではないか」「採血で希有な血液型と判明したり、移植を受ける人の条件とマッチングしてしまったら、その子は突然消されるかもしれない(臓器狩りに遭う)」といった懸念の声が広がり、学校側の動きに生徒、保護者から反発の声が広がっている。
在米の人権弁護士・呉紹平氏は、「学校側が学生に対し、健康診断を受けないと入学できないと求める法的根拠はなく、18歳未満の未成年者に対するいかなる身体検査や検査は違法である」と批判。
呉氏は「中国の失踪者と臓器移植との関連」について、米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)との取材の中で次のように指摘している。
「中国では、失踪者が毎年百万人を超えている。そのなかで、臓器狩り(強制臓器収奪)に関連するケースは少なくないだろう。しかし、当局がそれを公にすることはない。なぜならば、その背後には巨大な利益が絡んでいるからだ」
相次ぐ青年や学生の「奇妙な」失踪
中国では、青年や学生の奇妙な失踪事件が頻発している。その中で2022年に失踪し、学校近辺の森の中で変死体となって発見された「15歳の高校生・胡鑫宇くん」の名は今や中国人にとって「臓器狩り(臓器収奪)」を代表するワードとなっている。
「胡くんは失踪したその日に殺害され、臓器を摘出された。彼の臓器は夜を徹して上海の(病院の)手術台に救急搬送された。彼の部品(胡鑫宇くんの臓器)の購入者は数億元という非常に高い価格を提示していた」とこの事件を追っていた著名なインフルエンサーの宋祖德氏が明かしていた。現在宋氏のSNSアカウントは凍結された。
胡鑫宇事件は地元警察によって「本人の意思による首吊り自殺」と断定され、強引に幕引きをした。しかし、遺体発見時の状況証拠などに矛盾点が多いことから、真実を隠蔽しようとする地元警察ぐるみの、臓器収奪目的をふくむ「他殺」の疑いが濃厚であるとみられている。
この事件をきっかけに、多くの中国市民は、中共による「臓器狩り」の闇について一層リアルに信じるようになった。
それ以来、学生の不可解な失踪や死亡事件が起きるたびに「第二の胡鑫宇か?」という疑いの声が、必ずといっていいほど上がっている。
ただし中国において、これまでに「第二の」という修飾語が何回使われているかは、もはや数知れない。
広がった「臓器狩り」の対象
中共体制下で行われてきた「臓器狩り」とは、中国全土に不当監禁した法輪功学習者を巨大な「臓器バンク」とし、最短1週間で適合する移植用臓器が得られることを「売り」にして、日本をふくむ海外からの臓器移植希望者などを対象に、国家ぐるみで進められてきた悪魔のビジネスである。
なにしろ元手をかけずに、巨額の利益が得られるのである。そうした錬金術の悪魔性から「臓器の供給源」は法輪功学習者だけでなく、同じく不当監禁したチベット人やウイグル人にまで広がった。
さらに近年では、自国民である中国人までも「臓器狩り」の対象とされている可能性が濃厚になっている。
学校で、血液検査をふくむ健康診査を受けている学生や生徒が、なぜこれほど多く失踪し、変死体となって発見されるのか。なぜ警察は、それを「自殺」と決めつけるのか。
「彼らは臓器狩りに遭ったのではないか?」
民間から湧き上がるその疑念は、警察による強引な記者会見では、もはや否定できないレベルに達している。
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