社会問題 子供を狙う人外の獣、それと戦う母

中国で、また出た、狂気の女性 迷子の母親が店襲撃

2024/08/31 更新: 2024/09/15

中国浙江省温州市のショッピングモールで28日、行方不明になった子供の母親が消火器を手に、複数の商品ショーケースを襲撃する「事件」が起きた。

消火器を高く持ち上げて、いかにも高そうなカミソリや腕時計が展示してある店のカウンターめがけて思いっきり振り下ろす女性。店員や警備員に阻止されながらも、無我夢中で貴金属店を襲撃するこの母親の姿に多くのネットユーザーが涙をしているという。

か弱そうな母親が店を襲う様子を撮影した動画はSNSで拡散され、後先考えず、我が子を助けるため店を襲ったこの母親の行為に今、多くの中国人が拍手喝采を送っている。

こうした強盗まがいの行為が称賛される背景には何があるのだろうか。

中国メディアによると、この日、母親は息子のために買った服の会計を終えた後、子供がいなくなったことに気づいた。

ショッピングモールの警備員に「子供がいなくなった」ことを告げても無視された。一刻も早く子供を見つけ出そうとした母親がとった行動は、アナウンスルームにある消火器を持ち出して、消火器を高く持ち上げてモール内のショーケースを次から次へと破壊していくものだった。最初に破壊したのはカミソリのショーケース、それから腕時計のショーケースを2つ破壊したという。

最終的に女性の息子は見つかり、「階段のところでゲームをしていた」とことが分かった。

息子の無事を知り安堵した母親は「私は逃げません、ちゃんと責任をとります」と言ったという。

 

(ショッピングモールで「迷子」になった子の母親が消火器を手に「腕時計店」を襲撃するところ。2024年8月28日、中国浙江省温州市のショッピングモール)
 

なぜ器物損壊を犯した女性に称賛の嵐が?

母親のやり方について、「過激すぎる」と考えるユーザーも少なくない。しかし現在の中国では「母親は本当に賢いよ! 子供を見つけ出すためならばしょうがない」といった称賛の声も多く上がっている。

「店のショーケースを壊せば警報が鳴り、警察がすぐに駆けつけ、モール内のすべての出入り口を封鎖する。 この母親は、一番早くて、リスクの高い対処法を選んだのだ」

「7月には湖北省で同様のことをした母親がいたね、あれの真似だろうか。今後は子供がいなくなると高級店を襲う母親が続々と出てきそうだね」

同様の事件は先月、湖北省十堰市のショッピングモールでも起きており、その時母親は貴金属店を襲った。この時も行方不明になった女性の子供は最終的に見つかった。

 

「なぜ母親たちは子供がいなくなっただけで、そこまで焦り、狂うのか?」

「2人の母親の行動をかきたてた恐怖はなにか?」

同様の事件がたて続けに起きたことで、SNS上では「その母親をそこまでさせた背後の原因」に関する議論がまたも熱く交わされている。

関連投稿には、「時間が経てばたつほど、子供の体の部品(臓器のこと)が減っていくからだ」

「中共国の下っ端人口の子供は狙われている。うっかりしてるとすぐに子供がいなくなる。しばらくしたら食卓に出されるか、バラバラにされて内臓は売られ、肉は精肉工場へ送られて次の日にはソーセージに詰められるだろう。国中が食肉工場と化した環境下で、子供がいなくなったんだ、冷静でいられる親などいるはずがない」

といったゾッとするコメントが多く寄せられている。

前回、子供が発見された経緯に関して、ネットで広く拡散されている一説によると、「母親による『貴金属店襲撃』により、セキュリティシステムが起動し、ショッピングモールの出入り口が封鎖され、大勢の警察がモールに乗り込んだ」

「大捜索が行われた結果、失踪の子供は(薬か何かを嗅がされて)昏睡状態でトイレで見つかった。しかも、発見時、子供の髪は剃られていて見た目は全くの別人になっていた」という。

もしこの噂が事実ならば、その時の母親の機転の利いた「貴金属店襲撃」がなければ、この件はただの「迷子事件」として軽く扱われ、大勢の警察が捜査を行うこともなかっただろう。だから、時間が経てば経つほど、さらわれた子は人身売買業者、あるいは臓器狩り業者によって知らず知らずのうちにモール外へ連れ出され、永遠に見つからなかったかもしれない。

「暴力は良くない、しかし共産党支配下の中国では、人々はそれぞれの方法で身を守るしかないんだ」

ネット上では現代中国で生きることの悲壮さに対し、嘆きが広がっており、被害に遭った貴金属店は災難だったが、この件をめぐって母親を非難する声はほとんど上がっていない。

 

消火器を手に「貴金属店襲撃」する女性、2024年7月19日、中国湖北省十堰市のショッピングモール。(SNSより)

 

警察を呼びつける「裏の手」

前回の事件を自身のSNSにシェアした時事評論家の李沐陽氏は、エポックタイムズ・ジャパンの取材に対し、次のように評した。

「もし彼女が単純に『子供が行方不明になった』と届け出て警察に捜索を依頼していたら、その子供が発見される望みは極めて低いだろう」

「中国では数えきれないほど子供が失踪しているが、見つかった例は何人もいない。失踪した子供が見つからない理由は、警察が無関心だからだ。どの人身売買業者にも、それなりのバックがいる。その背後にある権力を怒らせたくないから、警察は無関心になる。なかには、人身売買業者の後ろ盾になっている警察すらある。しかもそのようなケースは珍しくない」

「そのような中国の現実を知っているからこそ、その母親は貴金属店襲撃の方法を使って、警察を現場に来させ、子供の救出のための時間稼ぎをした。もちろん、理由はどうであれ、貴金属店を破壊したのだから、後からそれなりの弁償を求められるだろう」

「中国で緊急事態の時に警察を呼びつけたいならば、実はもっと簡単な方法がある。それは大声で『打倒共産党』と叫ぶことだ。このスローガンを聞きつけた警察はウサギよりも早く現場に駆けつけてくれるだろう」

 

李沐陽氏(同氏のセルフメディア番組「新聞看点」より)

 

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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