社会問題 低層労働者の悲哀

中国の自殺したフードデリバリー配達員 遺書にあった最期の言葉

2024/09/07 更新: 2024/09/11

 

生活の重圧に耐えかねてビルから飛び降り自殺をした、フードデリバリー配達員の残した遺書がネットに流出した。

中国大手食配サービス「美団」の配達員(広東省広州市)の男性は、顧客からの嫌がらせに苦しみ、いわれのないクレームにより、配送会社「美団」の業務用プラットフォームのアカウントを封鎖されて、全く仕事を失ったという。

「生きることに疲れ、人生に絶望した」と書き残したこの男性は

「本当に配達人の責任であるかどうか、本当に調査したのか?」

と勤め先の美団に対しても恨みの言葉を残した。

 

画像(左)は「この世界よ、さようなら! 私は本当に疲れたよ。子どもの時からずっと、生きることは本当に疲れるって感じていた」というメッセージと共に添えられた、美団によって「アカウントを封鎖された」ことを示すスクリーンショット写真。画像(右)は自殺した男性の携帯の「メモ帳」に残された両親へのメッセージと、愛犬とのツーショット写真。

 

携帯の「メモ帳」には両親へのメッセージも残されていて、そこには

——自分を大学に通わすために懸命に働いてくれた両親に対する感謝とそして先に逝くことへの謝罪と、自分の死後、唯一の心残りである愛犬の世話を両親に頼んでいた。

男性の最後のSNS投稿は、高層ビルの窓から撮った写真と、

「最後のタバコだ、もうお開き!  さようなら」

の言葉だった。

また、男性のメモ帳の最後の言葉は、8月1日16時46分に書かれたものだった。そこには、

「この世界よ、さようなら! 私は本当に疲れたよ。子どもの時からずっと、生きることが、本当に疲れるって感じていたんだ」

というメッセージと共に、美団によって「アカウントを封鎖された」ことを示すスクリーンショットが添えられていた。

 

 

自殺した男性の遺書は華人圏のSNSで共有されて、

「これは現代中国を生きる庶民の実情を映し出している」

とする声が多く寄せられ、嘆きが広がった。

今年に入ってからも、中国では、フードデリバリー配達員の自殺が相次いでいる。事故に遭ってケガしようが、具合が悪くなって倒れようが、それでも起き上がって配達を続けようとする必死な姿を映し出している動画がしばしばSNSに投稿され、

「社会の底辺を生きる庶民は命がけで生きている」

と、多くの人々の涙を誘った。

先月21日、浙江省温州市で撮影された映像のなかには、同じく、ある配達員が、顧客注文商品を受け取る際に突然地面に倒れて、痙攣を起こした姿があった。その配達員は、周りの人に助け起こされた後もなお、引き続き配達をしようとしていたのだった。

 

 

先月18日、広東省である女性フードデリバリー配達員は、配達中に市民の男性と衝突し、女性は頭から血を流すケガを負った。しかし、彼女が事故の直後、まずやったことは、自身のケガの手当などではなく、携帯を出して、配達予定の注文先に連絡して対応することだった。

 

 

先月15日、河南省洛陽市の路上で、あるフードデリバリー配達員は、「私を轢き殺して! 死にたい!」と叫びながら車道に飛び出し、往来する車に轢いてもらうために向かっていった。どんなことを経験すれば、ここまで絶望できるのだろうか? (動画はこちら

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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