中国の経済状況を悲観する在中日系企業がますます増えてきている。最新の四半期調査によると、中国に進出している日系企業の60%が、今年の中国経済状況は昨年よりも「悪化」または「やや悪化」すると予想しており、前回調査の50%を大きく上回った。またこの数字は 3 四半期連続で増加した。
8月30日、中国の日系企業組織である中国日本商工会議所は、会員企業の経営状況や経営環境に関する最新四半期(4〜6月)のアンケート結果を発表した。
このうち、調査対象となった日本企業の22%は、今年の中国経済状況が昨年よりも「悪化する」と考えており、今年5月に発表された前四半期(1~3月)の調査結果より7ポイント増加した。また状況が「やや悪くなった」と考えている日本企業は38%で、前回より3ポイント増加した。
また、今年の中国経済状況が昨年に比べて「改善する」と考えている日本企業はわずか1%で、前回調査とほぼ同じであった。状況が「やや改善した」と考える日本企業は1割で、前回より4ポイント減少した。経営状況が概ね「改善した」または「やや改善した」と回答した日本企業はわずか11%で、前四半期から4ポイント低下しており、これは、中国経済の見通しが厳しいと予想する企業が急増していることを示している。
今年の投資額については、日本企業の45%が「減らす」または「減らさない(据え置く)」と回答し、前回調査(44%)とほぼ同じであった。今年の投資を前年に比べて「増やす」または「大幅に増やす」と答えた日本企業はわずか15%であった。
調査を受けた企業のほとんどが投資削減を行ったのは「中国経済の不確実性」と「熾烈な競争による販売価格の低下と不透明な利益の見通し」によるものだ。
ビジネス環境について、58%の日本企業は「非常に満足」または「満足」と答えており、42%の回答者は改善を望んでいる。その中で、「(中国)国内企業よりも待遇が優れている」と「(中国)国内企業と同じ待遇」の割合はどちらも80%であり、これは4回連続で増加している。
「(中国)国内企業と比べて同等に扱われていない」と考えられる分野において、51%の日系企業が「規制法令の実施」を選択し、39%が「政府の財政支援や補助(研究開発支援や投入コスト)」を選び、さらに、26%の回答者が「関税手続き」を選択し、前の四半期に比べて7ポイントの増加が見られた。
さらに、多くの日本企業がCOVID-19の影響で一時停止されていた日本人の短期入国免ビザ政策の復活を求めている。6月下旬に江蘇省蘇州市で日本のスクールバスが襲撃された事件の後、ますます多くの日本企業が「日本人居住者の人身の安全保護」を求めるようになっている。
中国日本商会の会長であり、松下ホールディングスの副社長である本間哲朗(Tetsuro Honma)氏は、報告の挨拶の中で次のように述べた。「中国には3万1300社の日本企業があり、これらの企業は多くの雇用機会を創出し、中国の経済発展に貢献している」
彼は「中国にある日本企業の中には、中国の経営状況に対して懸念を抱いている企業があり、中共当局や地方政府が適切な経済対策を講じて状況を改善することを望んでいる」と述べた。
本間氏は、また「この機関が中国各地の日本の商工団体などと引き続き協力し、中共およびその地方政府に対して働きかけることで、中国における日本企業の経営環境を改善し、日本政府と日本大使館に対して、中国における日本企業の現状を報告しつづけていく」と述べた。
この調査は7月下旬に、中国にある約8千の日本資本企業やその他の日本の駐中国機関を対象に行われ、1760件の回答が集まった。その結果、回答率は過去最高を記録した。
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