中共の住宅市場救済が行き詰まり 地方の未来は

2024/09/19 更新: 2024/09/19

中国の住宅市場は依然として低迷しており、住宅価格は下落を続けている。今年5月に中国共産党(中共)当局が発表した「最強の救済政策」では、地方政府が、商品住宅を購入することを許可した。この政策の効果については外部から注目されている。

ブルームバーグ・ニュースの報道によると、3か月が経過した現在、中共が約400の県市に発した救済措置に対して、29の都市からしか反応が得られていないとのことだ。

中共の中央銀行は、5月17日に、3千億元(約6兆円)の保障性住宅(低所得者など向けの住宅)再貸付を含む4つの政策措置を発表した。これらの措置は、関連する要求を具体的に実施し、「ストックを活性化」させ、市場の信頼を高めることを目的としている。

人々は、中共政府の保障性住宅の再貸付の進捗状況や運営方法に非常に関心を寄せている。

ブルームバーグの報道によると、現在、約3か月が経過した時点で、中共が約400の県市に向けて出した市場救済の呼びかけには、わずか29の都市しか反応がない。ブル-ムバ-グ インテリジェンスのアナリスト、孔令儀氏は、「賃料収入が少ないから、リスクを冒す価値がほとんどないため、現在、北京は地方政府に対して住宅救助プログラムを進めるのに苦労している」と述べた。

台湾の経済専門家、黄世聡氏は次のように語る。

「地方政府自体が不動産の発展を楽観視していないため、たとえこの資金を使って不動産を購入しても、中央政府は全額を支給するわけではなく、一部を助成するだけだ。さらに資金を調達して不動産を購入しなければならない。そして、購入後に価格が上昇すれば問題ないが、将来的に価格が下落した場合、地方政府の財政負担が逆に増大する。したがって、この状況下では、むしろ資金を残しておく方が良いだろう」

中共の中央銀行は昨年、特定の金融機関に対して1千億元(約2兆円)の資金を提供するための専用貸付計画を導入した。この計画は、8つの都市で住宅を購入し、地域の低価格家賃住宅計画を支援することを目的としている。

大紀元のコラムニストである王赫氏は、「政府は不動産を購入し、それを低価格の賃貸住宅や手頃な住宅として提供しているが、これは中共の一方的なアプローチに過ぎない。この政策が効果的に機能するためには、多くの条件を満たす必要がある。現在の状況を考慮すると、中共の不動産市場の現状と比較して、依然として大きなギャップがあり、実質的な効果を生むことは難しいと言えるだろう」と述べた。

さらに王赫氏は、中共当局が次々と政策を打ち出しているにもかかわらず、実行部門が何も行動を起こさないため、全体の市場は依然として下落を続けており、悪循環が形成されていると指摘している。

「地方は資金不足であり、心の中には不安がある。このモデルには商業的な実行可能性がないため、中央銀行が、この政策を打ち出したことは、実質的には単なるごまかしに過ぎない。この政策に加えて、ホワイトリスト計画や銀行融資などを行なうと言ったが、結果として銀行は全く融資をしないか、非常に慎重で、どこも融資をしたがらない状況だ。今年の上半期を振り返ると、上場している銀行の住宅ローンは減少しており、皆がこの深い穴を知っているため、誰もが融資を避けている」

黄世聡氏は「中国ではすでに大規模な不動産の倒産や地方の小銀行の破綻が発生しているが、不動産不況の底を、いつ見ることができるのだろうか? 私は少なくとももう少し様子を見る必要があると思う。短くて3~5年の間に、機会があるかどうかを見極め、時間をかけて徐々に落ち着く兆しがあるかどうかを確認する必要がある」と指摘した。

ブルームバーグは、救済計画の実施が遅れているのは、この計画が地方政府の経済にとって、魅力的でないからだと指摘している。台湾の経済専門家である黄世聡氏は、誰も価格が下がると予測できる商品を購入しようとは思わないと述べている。

黄世聡氏は次のように話している。

「消費者も地方政府も、彼らは愚かではない。彼らは、不動産価格が今後しばらくの間、大幅に回復することは不可能だと理解している。中央政府は、地方に不動産支援を求めているが、地方政府はすでに多額の負債を抱えているため、将来的に価格が下がる可能性のある商品を受け入れて、さらに負担を増やすことはできない。主な理由は、皆が中国経済が大きな危機に直面していることを知っているからだ。その危機の中で、誰が最初に救われるかを見守っている。だから皆は冷静に様子を見ようとしている。中央政府が急いでいないのに、地方が急ぐ理由はない」

中共財政部が最近発表した財政収支の状況によると、今年の1月~7月の全国各省の財政収支は、31の省の中で上海市の703億元(約1.4兆円)の黒字以外、すべての省が数百億から千億以上の赤字を抱えている。その中で、北京は約1千億元(2兆円)、広東は2千億元(4兆円)以上の赤字を出しており、四川省が最も多く、財政赤字は4130億元(8.26兆円)に達している。

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