総務省が10月8日に発表した8月の消費動向指数によると2020年を基準とした総世帯の消費動向指数は、名目で106.9、実質で96.5となった。これは、前年同月比で名目が3.0%増加した一方、実質では0.6%の減少を示している。また、前月比(季節調整値)では、名目で0.5%の増加、実質で0.1%の微増にとどまった。名目ベースでの消費は増加しているものの、物価上昇などの影響により実質ベースでは消費が減少していることが示された。
世帯消費動向指数は、世帯における平均消費支出額を基準年(2020年)の平均月額を100として示す指標である。家庭の消費支出の傾向を把握するために非常に重要なデータであり、物価や経済環境の変動に対する家庭の消費行動を測る役割を果たしている。
費目別に見ると、食料の名目指数は2.3%の増加、実質でも1.0%の増加を記録したが、住居は名目で2.5%、実質では3.4%の減少となった。また、教養娯楽に関しては、名目で4.0%、実質で4.8%の大幅な減少が見られ、厳しい状況が続いていることが浮き彫りとなった。
交通・通信費の減少と医療費の増加
交通・通信費は、名目で0.5%の減少、実質でも2.2%の減少が見られ、特にエネルギー価格の高騰や輸送コストの影響が大きく出ていると考えられる。一方で、保健医療費は名目で3.6%、実質で3.3%の増加を示しており、医療関連の支出が引き続き上昇傾向にある。
2人以上世帯と単身世帯の差異
2人以上の世帯では、名目で0.5%増加、実質では0.3%の減少となり、安定した支出傾向が見られるが、単身世帯では名目で1.1%の減少、実質で1.7%の減少と、特に単身者における消費の減少が顕著に現れている。
今回のデータは、物価の上昇に伴い名目消費が増加している一方で、実質的な購買力は依然として低迷していることを示しており、今後の経済政策とインフレ対策が重要となる。特に、消費者がどのように物価上昇に対応していくかが注目されており、家計の動向を見極める必要がある。
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