文部科学省が2019年から進めている児童や生徒に1人1台のコンピュータと高速ネットワークを整備するという「GIGAスクール構想」において、公立高校に配備されたタブレット端末の約3分の1が十分に活用されていないことが会計検査院の調査でわかった。令和3年度に国の補助金を使って整備した約9.6万台のうち、最大で約3.3万台が貸与されていない状況が明らかになった。
GIGAスクール構想(Global and Innovation Gateway for All)は文部科学省が2019年に打ち出した教育改革案だ。この構想は、主に学習用端末(タブレットやノートPC)とネットワーク環境を整備し、ICT技術を活用して従来の教育実践とのベストミックスを図ることを目指している。個別最適化された創造性を育む教育の実現や、新しい教育スタイルの確立を主な目的とし、生徒の個別学習の促進、教員の業務負担軽減、教育格差の解消などの効果を期待している。
今回の会計検査院の調査で、全国の公立高校に配備した9万5千台余りのタブレット端末のうち、ほぼ3分の1にあたる約3.3万台、補助金額にして約12.7億円分の端末が未使用だったことが判明。また最大貸与率が50%未満の14事業主体で、今後の奨学給付金等受給世帯等の生徒への貸与の見込みを徴取したところ、1万3千台あまりの端末は今後の貸与が見込まれないことがわかった。
主な理由として、BYOD(Bring Your Own Device)方式の導入により、生徒が自身の所有するデバイスを学習に使用することが可能となり、貸与希望者が想定より少なかったことが挙げられた。また、文科省からの情報提供も不十分で、奨学給付金などの受給世帯以外への貸与や未使用端末の活用方法が明確でなかったことも指摘している。
これを受けて会計検査院は文科省に対し、未使用端末について学校現場で有効活用方法を検討するよう対応を求めている。
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