厚生労働省が28日に発表した令和6年「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、今年の賃金改定状況は昨年を上回り、平均の賃金引き上げ額が1万1961円(前年9437円)と1999年以降で最高を記録した。また、賃金引き上げ率も前年の3.2%から4.1%に上昇しており、企業の賃上げ意欲が高まっていることがわかる。
今回の調査は、全国の民間企業3622社を対象に実施し、1783社から有効回答を得た。対象は常用労働者100人以上を雇用する企業で、調査は令和6年7月から8月にかけて行われた。
賃金引き上げ労働組合実施率の上昇
調査結果によると、企業全体で「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」と回答した企業の割合は91.2%に達し、前年の89.1%を上回った。賃上げの平均額が1万1961円と大幅に増加した背景には、インフレ対応や人材確保のための賃上げが進んでいることが考えられる。
労働組合との交渉状況
労働組合のある企業の割合は24.5%(前年20.5%)と増加したが、賃上げ交渉を行った企業の割合は80.2%で、前年の88.9%から低下している。一方、賃上げ交渉を行わなかった企業は15.6%と前年の9.0%から増加しており、労働組合との交渉スタンスに変化が見られる。
定期昇給、ベースアップの実施状況
賃金改定を実施した企業では、管理職の76.8%(前年71.8%)、一般職の83.4%(同79.5%)が定期昇給を行っている。また、ベースアップを「行った・行う」と回答した企業の割合も増加しており、管理職で47.0%(前年43.4%)、一般職で52.1%(同49.5%)となっている。
賃金改定の背景
この賃金引き上げの背景には、物価上昇や労働市場の逼迫が影響していると考えられる。特に、中小企業においても人材の確保が課題となっており、積極的な賃上げが見られる。さらに、政府が推進する「新しい資本主義」に向けた企業の意識変革も後押しとなっている。
今年の調査結果は、企業の賃金引き上げに対する積極的な姿勢を示すものであり、平均引き上げ額が過去最高を記録した。インフレへの対応や人材確保が大きな要因である一方、労働組合との交渉のあり方にも変化が見られ、今後の賃金改定にどのように影響するか注目される。
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