近頃、華人圏のSNSでは「そんな些細なことでキレるのか?」といった目を疑うほどの取るに足らない「きっかけ」で凶悪事件が頻発している。この異常事態については「中国社会全体が、真っ黒な『戻気(リーチー、邪気)』に満ちているからだ」と人々はまとめる。
そういったニュースを見て、「もう下手に外を歩けない」と嘆く人には、手抜き工事やガス爆発などに巻き込まれるなど「家の中にいても安全じゃないぞ」という反論が寄せられるほど、現代中国の状態はひどい。「あの国はどうしてこうなってしまったのか」世界中の華人が心を痛めている。
突然の「襲撃」された不運な美女
10月19日、火鍋店で食事をしていた中国人夫婦、しかし夫はずっと隣のテーブルの美女を見ている。そのことが気に食わない妻は沸騰した火鍋のスープを直接その美女にかける事件が起きた。何も悪くないのに突然の「襲撃」を受けた隣テーブルの「美女」は熱されたスープをかけられ絶叫した。
(2024年10月19日、火鍋店で起きた「熱湯襲撃事件」)
甚だしい「勘違い」
10月22日、浙江省杭州市の集合住宅の最上階の家はリフォーム工事をしていた。工事音を「故意に騒音を作り出して嫌がらせしている」と勘違いした下の階の住民(男)が手に「中華包丁」を持ってリフォーム中の家へ乗り込んでその家の住民を切りつける事件が起きた。
(「リフォーム騒音事件」、2024年10月22日、浙江省杭州市。)
「言行を慎み、薄氷の上を歩くように」
中国では近年、暴走車が人混みへ突っ込むなど「社会への報復」を意図したとみられるような凶悪事件も含め、中国社会の邪気がもたらす悲劇は、ほとんど毎日起きている。
華人圏のSNSには「今の中国社会は邪気が満ちている。人と衝突を起こすな」といった趣旨の動画はSNS上に様々なバージョンのものがある。
どれも「あなたの相手や周囲の誰かが精神的に突然キレて凶悪犯に豹変しないよう、あなた自身が十分注意しなさい」と呼びかける内容で、下記にその一部内容を紹介する。
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「今の社会では、邪気が強すぎる人はあまりに多いのです。そうなった原因はさまざまです。失業した、破産した、住宅ローンの支払いを中止した(購入した住宅の不動産開発業者が倒産し建設がストップした)などなどで、人々はますます憂鬱になり、不安になっています。なかには精神的に崩壊寸前の人も少なくないでしょう」
「だから、あなたの言葉や行動1つが、ラクダの背骨を折る最後のワラ(ある物事が忍耐の限度を超えてしまうきっかけとなる意)になりかねないのです。あなたの周りにいるそのような人たちが、どんな極端なことをしだすか、あなたには、全く予測不可能なのです」
「ですから、外へ出た時は、できるだけ我慢して、対立を激化させないように、冷静になることが必要です。物事は往々にして、我々が掌握できる範囲内にはありません。自分の命は一つしかないのです」
「いかなる人の前でも、またどんな場面であっても、決して人前で自慢話をしないように。今の社会は、多くの人が心の奥に吐き出せぬ怒りを抱えています。あなたの心無いちょっとした言動、ひいては友好的ではない視線一つさえも、誰かを刺激しかねません」
「警備員、宅配業者、食事デリバリースタッフなどに対しては、本当に礼儀正しく、笑顔で接してあげなければなりません。なぜならば、彼らは職業の性質上、この社会で多くのストレスを受けているからです。ラクダの背骨を折る最後のワラにならないように。さもなければ、彼らの不満や怒りはすべてあなたに向けられかねません」
「車を運転するときや列に並ぶ時は、割り込みをしない。公共の場で電話しない。大きな声でしゃべらない。誰かにぶつかった時は、すぐに謝る。エレベーターに乗る時も(先を争わず)できるだけ後ろに立つ。言行を慎み、薄氷の上を歩くときのように緊迫した心持ちでいることです」
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いずれも「人との争いを起こさないようにする心得」だという。正常な社会であれば当然のマナーや常識ではあるが、今の中国においては「焼け石に水」の感は否めない。
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