アメリカ憲法には、大統領が指名する政府官僚の中で、特定の重要なポジションに就くためには、上院の認定が必要という規定がある。この規定に対して、一部の改革者たちが、異なる意見を提起しているが、果たしてこれらの意見は、実現可能なのだろうか？　学者の分析を見てみよう。

トランプ氏は11月6日に大統領に選出された後、11月23日までに内閣メンバーや重要な官僚の指名を完了した。これには、国務長官、財務長官、商務長官、国防長官、国土安全保障長官、司法長官、内務長官、農務長官、労働長官、保健福祉長官、運輸長官、エネルギー長官、教育長官、退役軍人長官、住宅都市開発長官の15人が含まれ、連邦上院の認定が必要だ。

ニューヨーク州ハミルトンにあるコルゲート大学の政治学助教授アニー・ベン博士は、「大統領が指名する官僚は約4千人おり、その一部は上院の認定が必要だ。現在までに、1200件以上の指名者が、上院の認定を待っている」と述べている。

上院が大統領の指名を認定するのにかかる時間は、レーガン政権の56日からオバマ政権の100日以上、トランプ政権の初期には一部の官僚が、200日以上かかることもあった。

効率を高め、政府のポジションが長期間空席になるのを避けるため、一部の人々は、上院の確認が必要な官僚の数を、減らすことを提案している。

アニー・ベン博士は次のように述べている。「残念ながら、政治学の文献は、改革が期待される効果を実現する可能性が低いことを示している。連邦政府の部門に対する見解が、大統領と一致しない上院議員は、大統領の指名認定を遅らせることで政策変更に抵抗できる」

認定が何度も遅れ、連邦議会が休会に入ると、指名は無効になる可能性があり、反対する上院議員は、問題を再びホワイトハウスに押し戻すことになる。

2024年の選挙後、共和党は上院と下院の両方を再び掌握する。選出されたトランプ大統領は、上院の共和党員に対し、休会中に大統領が臨時に官僚を任命できるよう求めた。次期上院の多数党リーダーである共和党のジョン・トゥーン（John Thune）氏もこの提案に協力する意向を示している。

アメリアk建国初期の憲法制定会議で「休会任命条項」（Recess Appointments Clause）が通過し、前大統領のオバマ氏や氏クリントン氏もこの条項を利用してきた。

大統領が臨時に任命した人選は、上院が再開した後に、認定プロセスを経る必要がある。これは憲法が制定された当初の「権力分立」原則の一つを反映している。

アニー・ベン博士は次のように指摘している。「上院が任命人選を認定する理由は、（憲法が認める）大統領が政策を策定する際に、上院が行政部門の官僚に対して、監督権を行使することを許可しているからだ」