岩国錦帯橋空港 ドローン飛行で滑走路が一時停止 基地周辺の安全管理に懸念

2024/12/23 更新: 2024/12/23

22日夜、岩国基地付近で未確認のドローンが飛行し、滑走路の運用が一時停止された。
複数の関係者によると、岩国市にあるアメリカ軍と軍民共用の岩国錦帯橋空港に、国土交通省から「複数のドローンが飛行している」との連絡があり、滑走路が一時使用できなくなった。この影響で、同空港を発着する全日空の2便に遅延が発生し、約250人の乗客に影響が出たという。警察はドローンが飛行していた事実を含め、詳細を調査している。

小型無人機等飛行禁止法では、米軍基地自衛隊施設周辺でのドローン飛行は原則禁止とされ、対象施設の管理者又はその同意を得た者による周辺地域上空の飛行は認められる場合があるものの、近年、米軍基地や自衛隊基地周辺で同意を得ていないドローン飛行が確認される事例が増加している。

過去の事例

横須賀基地での事案(2024年3月)
海上自衛隊の護衛艦「いずも」や米海軍の航空母艦「ロナルド・レーガン」が停泊する横須賀基地上空で、違法ドローン飛行が確認された。これらの艦艇を撮影した映像がSNSに投稿され、防衛省は映像が実際に撮影された可能性が高いと認定。高性能レーダーや電波妨害装置の導入など、ドローン対策技術の強化が進められている。

佐世保基地での事案(2024年8月)
米海軍佐世保基地周辺で、違法とみられるドローンが低空飛行しているのが確認された。監視や偵察目的で飛行していた可能性が指摘されており、米海軍犯罪捜査局(NCIS)が調査している。防衛省も連携して対応している。

アメリカ国内の状況

また11月以降、アメリカでも軍事施設や制限空域内でドローンが目撃される事例が相次いでいる。ニュージャージー州の軍事施設を含む複数の地点で報告が上がっている。

12月16日、米FAA(連邦航空局)、FBI、国土安全保障省、国防総省が共同声明を発表。FBIはこれまでに5千件以上のドローン目撃情報を受けたが、国家安全保障上のリスクにはならないと評価した。一方で国防総省は、「領空への不正アクセスを深刻に受け止めている」とし、必要に応じて連邦、州、地方の法執行当局と連携して対応する方針を示した。

FAAの規制

FAAは、商用および趣味用のドローンに対して以下の規制を設けている。

  • 飛行高度:400フィート(約122メートル)以下
  • 最高速度:時速100マイル(約161キロ)

連邦レベルでは、2025年国防権限法(National Defense Authorization Act of 2025)に盛り込まれた「中国製ドローン対策法」により、DJIなどの中国製ドローンメーカーがアメリカ国内で製品を販売することが禁止される予定だった。

これらの規制にもかかわらず、ドローンの不正使用や安全保障上のリスクが課題となっている。今後、さらなる規制強化や技術的対策が求められる。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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