石破首相が年頭所感 3つの重要政策へ取組み決意

2025/01/01 更新: 2025/01/01

石破茂首相は2025年1月1日付で年頭所感を発表し、日本が直面する課題に対する政府の取り組みと新年への決意を表明した。

3つの重要政策課題

石破首相は3つの重要政策課題として、(1)外交・安全保障上の課題への対応、
(2)日本全体の活力の回復、(3)治安・防災への更なる対応に取り組む姿勢を示した。

(1)外交・安全保障

石破首相は、ロシアによるウクライナ侵略や北朝鮮による度重なるミサイル発射を例に挙げ、「わが国を取り巻く国際情勢は厳しく複雑だ」と指摘した。これらの課題に対し、「外交と防衛を車の両輪として、国益を守り抜く」とし、「防衛力の根幹である自衛官の生活・勤務環境や処遇の改善にも取り組む」と決意を表明した。

注目すべき点として、石破首相は年頭所感の中で中国に関する直接的な言及を避けている。これは、2024年11月のAPEC首脳会議で行われた中国共産党党首・習近平との首脳会談を踏まえ、「建設的で安定的な関係」の構築に向けた方針を反映している可能性がある。

(2)日本の活力回復

人口減少問題については、「静かな有事」と位置付け、深刻な課題として認識していることを示した。石破首相は「東京の一極集中を是正し、魅力ある地方と都市が結びつき、多様な国民の幸せが実現できる日本をつくる」という方針を掲げ、地方創生に取り組む姿勢を明らかにした。

また、豊かな国民生活実現のため、賃上げや国内での設備投資を後押しし、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」へ移行し、社会保障制度についても将来への安心感を生む制度実現に向けて取り組むとした。

(3)治安・防災対策

防災に関しては、「いつ起きるか分からない災害にも最大限の備えをする」と宣言し、2026年度中の防災庁設置に向けて準備を進める考えを示した。また、「闇バイト」対策にも注力する意向を表明した。

政権運営の姿勢

石破首相は、昨年10月の衆院選で少数与党となったことを踏まえ、「他党にも丁寧に意見を聞き、幅広い合意形成が図られるよう、真摯、謙虚に取り組む」と表明した。

乙巳(きのとみ)の年

石破首相は年頭所感の冒頭で、2025年の干支である乙巳(きのとみ)の意味について触れ、「周囲との調和を保ちながら目標に向かって進む力を象徴している」と述べた。また、前回の乙巳が昭和40年であり、『いざなぎ景気』が始まり、日本中が活気にあふれていた時代だったことに触れ、「衆知を集め、豊かさと笑顔を皆様に届けていく一年にしてまいります」と抱負を語った。

乙巳の年は、日本の古代史において重要な転換点となった「乙巳の変」が起こった年でもある。この政変は645年に起こり、蘇我氏が倒され、大化の改新へとつながった。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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