「給料を払え!」と怒りに震える声で叫び、垂れ幕を掲げ、「払わないと自殺する」とビルの屋上にも登らざるを得ないほど追い詰められた労働者たち。そんなシーンは今では、一線都市の上海、深センを含む中国全土で毎日のように繰り返される「日常」となっている。
とくに旧正月(1月29日)を控えるこの時期では、こうした抗議の声は一段と高まっている。
1月3日の福建省アモイ市では、トップ画像のクレーン車に登った労働者が、高所で2時間以上立ち続けた。現場には「我われの稼いだ金を返せ(還我血汗錢)」と書かれた横断幕を広げてあった。最終的に騒ぎが大きくなり、消防車と警察が現場に到着し、交渉を重ねた結果、労働者は自ら降りてきた。
中国全土で響き渡る「給料払え!」の叫びについて、中国問題専門家でエポックタイムズのコラムニストでもある王赫(おうかく)氏は次のように指摘する。
「中国共産党の体制下ではもとは善良で正直であった人でも、悪事を働かなければ生きていけない。そのため、多くの経営者はだんだんと腹黒い商人になるしかない。とくに近年の悪い経済状況のなかで、どの層も金払いが悪い。最終的には労働者に払う給料がなくなる。これは社会全体、経済上の問題でもあり、どうにもならない」
労働者の給料支払いを滞納する企業のなかには、夜逃げするケースもあり、そうなると労働法があってないような中国では労働者たちは泣き寝入りするしかない。
「中国にも労働仲裁など多くの機構がある。しかし、役に立たない。そういった公的機構もまた、中国共産党の体制に毒されて、完全に腐りきっているからだ」と王赫氏はいう。
2024年12月以来、「河南鄭州万科未来時光」、「古翠隠秀」、「遼寧大連万科東港」、「湖北武漢万科」などの建築プロジェクトではいずれも「給料の支払い」を求めて労働者が抗議する事態が起きている。
2024年最後の週では、遼寧(りょうねい)省海城市、広西(こうせい)省南寧市、陝西(せんせい)省西安市の3都市で、政府の財政難により町の清掃業者への給料が支払えず、ストライキが起きている。
今月1日、広西省柳州市でも労働者が高所に登り「給料払え!」と叫んだ。
「8か月も給料をもらっていない」として、今月1日、山東省鄒城(すうじょう)市の数百のバス運転手は集団でストライキをおこし、給料未払いに抗議した。
今月3日、遼寧省の政府庁舎前には「給料がもらえません。政府よ、力になってください」と叫ぶ農民労働者たちの姿があった。
(「給料払わないと自殺するよ」とビルの屋上に集団で登り、抗議する労働者たち。2025年1月4日、広東省肇慶市)
(「給料払え!」と抗議してストライキを決行したバス運転手たち、2025年1月1日、山東省済寧市)
(「給料払え!」と抗議する労働者たち。2025年1月2~3日、上海。「新城控股(しんじょうこうこく)」の本部ロビーに布団持参で寝泊まりしながら抗議する「新城集団河南商丘、鄭州プロジェクト」に所属する建築労働者たち、その数は数百といわれている)
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(現地政府前で「給料払え!」と抗議する労働者たち。2025年1月7日、河南省鄭州市)
(「給料払え!」とビルの屋上で抗議する労働者たち、会社経営者は夜逃げした。2025年1月8日、広東省陽江市)
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