馬毛島の自衛隊基地建設 1月の工事計画公表

2025/01/09 更新: 2025/01/09

防衛省九州防衛局は、馬毛島における自衛隊基地建設の1月の工事作業予定を公表した。

馬毛島は種子島の西約10kmに位置し、鹿児島県西之表市に属している。この基地は南西諸島における自衛隊の活動・訓練拠点および島嶼部に対する攻撃への対処拠点として、2023年1月12日から建設が進められている。

1月の工事予定には、飛行場施設、飛行場関連施設、港湾施設、および仮設施設工事が含まれている。

飛行場施設では、滑走路の造成工事や伐採樹木のチップ化が行われる。飛行場関連施設では、駐機場等施設の造成工事、格納庫の造成工事、そして管制塔や通信局舎、飛行管理棟、ユーティリティ施設などの本体工事や基礎工事が進められる。

港湾施設においては、防波堤、一般桟橋、燃料桟橋、消波堤防などの本体工事が予定されている。また、接続施設の基礎捨石工事と本体工事も行われる。さらに、仮設工事として仮設宿舎工事、仮設沈砂池工事、仮設プラント工事が計画されている。環境保全措置としては、オカヤドカリ類などの陸域動物の移動が計画されている。

提供:防衛省・九州防衛局

なお、この基地建設事業の完成時期については、当初の4年程度から延長され、令和12年(2030年)3月末の完成が見込まれている。工期延長に伴い、地域住民の生活への影響の長期化や拡大が懸念されており、西之表市は防衛省に対して要望書を提出している。

馬毛島に自衛隊施設を整備する必要性

防衛省のウェブサイトの記載では、「我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。特に、我が国周辺では 軍備増強が急速に進展しており、力による一方的な現状変更の圧力が強まっています」とし、馬毛島への自衛隊施設整備の必要性が説かれている。特に南西地域においては、中国共産党(中共)軍を意識した備えが急務となることが懸念される。

南西諸島の自衛隊拠点の空白

日本の南西諸島は南北に長大で、自衛隊の施設は他の地域に比べて限定されており、自衛隊の活動・訓練拠点の空白が存在しているという。そのため、南西地域の島嶼部に対する攻撃への対処等のため、緊急時の活動拠点や、平素の訓練拠点の整備が必要となっている。

提供:防衛省

米空母の活動を確保

防衛省のウェブサイトの記載によると、アメリカの空母がアジア太平洋地域で恒常的に活動するためには、FCLP施設が我が国に必要だという。FCLP(Field Carrier Landing Practice)施設とは、米軍の空母艦載機パイロットが陸上で空母への着艦訓練を行うための専用施設だ。FCLPは陸上空母離着陸訓練と呼ばれ、滑走路の一部を空母の甲板に見立てて連続離着陸(タッチアンドゴー)などの訓練を行う。

現在日本では硫黄島が主要なFCLP訓練基地として使用されているが、硫黄島は配備地(岩国)から遠く安全性が問題となっている。そのため、新たに馬毛島でのFCLP施設建設計画が進行中だ。

提供:防衛省

防衛省は、「馬毛島に自衛隊基地ができれば、我が国の平和と安全に非常に大きな意義があり、大規模災害発生時には、この地域における救援活動が、より的確に行えるようになる」としている。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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