与党幹事長らが中共対外連絡部長らと「日中与党交流協議会」を北京で開催  

2025/01/14 更新: 2025/01/14

自民党の森山裕幹事長と公明党の西田実仁幹事長を含む訪中団は、2025年1月14日午前、中国の北京で「日中与党交流協議会」を開催した。この協議会は約6年3か月ぶりの開催となり、2018年10月以来の実施である。

協議会では、自民党と公明党の幹事長らが中国共産党(中共)の中央対外連絡部長・劉建超とともに基調講演を行い、両国の交流促進を図った。森山幹事長は基調講演において、日中関係を進展させるには「具体的な成果が求められる」と強調した。また、日中関係の改善に向けて、両国民間の相互理解の促進、具体的な成果の創出、あらゆるレベルでの対話の強化という3つの柱が必要であると訴えた。

中共の中央対外連絡部(対外連絡部)は、ドイツの連邦憲法擁護庁の報告によると、中共中央委員会の直属機関として、外国の影響力のある人物を取り込み、中共に有利な発言や行動を促す役割を担っている。また、外国で中共の政治的目標に賛同する人的ネットワークの構築を目指している。

対外連絡部は当初、他国の共産党との連携を主な任務としていたが、近年では左派政党だけでなく保守系政党や国際組織とも接触を広げている。ドイツの連邦憲法擁護庁によると、中国共産党のスパイ活動は民間や軍事部門から政党への工作に重点を移しており、対外連絡部はドイツ国内の政策決定者に接近し、中国共産党に有利な決定を促すとともに、個人的な交流を通じて機密情報や重要課題に関する見解を聞き出そうとしているという。ドイツの連邦憲法擁護庁は、政府機関に対して対外連絡部との接触には特に慎重になるよう警告し、ドイツ刑法第99条に規定された外国のスパイ機関への協力罪に抵触しないよう注意を促している。さらに、対外連絡部を中共の諜報機関として分類すべきだと指摘している。ドイツ刑法第99条は、外国の諜報機関のために行われるスパイ活動を処罰する規定である。具体的には、外国の諜報機関のためにドイツ連邦共和国に対して情報収集活動を行った者や、そのような活動を申し出た者を処罰の対象としている。

北京で今回行われたこの協議会は、これまで日中間の懸案事項について政府だけでなく議員同士が対話できる場としての役割を果たしてきた。今回の再開には、中国との独自のパイプを持っていた二階俊博元幹事長の後継づくりの狙いもあるとされている。

公明党の西田幹事長は、日中の「戦略的互恵関係」を築くために、多国間の安全保障対話枠組み「欧州安保協力機構(OSCE)」のアジア版創設を提案した。OSCEは冷戦期の1975年に設立された欧州の安全保障協力のための国際機構であり、紛争予防や危機管理、紛争後の復興、防災を含む様々な課題に対して共同で取り組む枠組みを提供している。日本では防災に対する取り組みとして防災庁設立の動きがある。政府は2026年度中の創設を目指して準備を進めている。防災庁は、事前防災から復旧・復興までを一元的に担う組織として構想されている。石破茂首相の肝煎り政策であり、現在の内閣府防災部門の予算と人員を増やし、専任の閣僚を置いて災害対応の司令塔とする計画だ。

訪中団は14日に中国共産党序列4位の王滬寧や王毅外相との会談も予定している。

この協議会の再開について、石破茂首相は「いろいろなレベルでの交流を日中間で重ねていくことを希望する」との考えを表明し、自身も早期の訪中に意欲を示している。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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