中国企業が米モトローラの技術窃取を認める

2025/01/15 更新: 2025/01/15

1月13日、中国の通信機器メーカーであるハイテラ・コミュニケーションズ(海能達通信有限公司)は、米モトローラ・システムズ社の無線通信技術を窃取したとして、米連邦裁判所で営業秘密窃取に関する重大な刑事罪を認めた。

窃取の詳細

司法取引で、2008年、ハイテラ・コミュニケーションズ(以後ハイテラ)の関係者がモトローラのデジタル移動無線通信技術(トランシーバー)に関連する文書やソースコードを無断で取得することに合意していたことが明らかにされた。この情報の一部はハイテラ社の製品開発に利用され、その後イリノイ州で販売されたことが裁判所文書に示されている。

この結果、中国企業は最大6千万ドルの罰金を科される可能性があり、さらにモトローラに損害額全額を賠償する必要がある。

ハイテラ社は中国のトランシーバー業界のトップ企業で、専用通信分野でファーウェイのような存在だ。しかし、同社は以前、米政府のブラックリストに登録されている。

この件は約7年に及ぶ法廷闘争の末、今回の認罪に至った。2017年3月、モトローラおよびそのマレーシア法人は、ハイテラとそのアメリカの子会社を営業秘密および著作権、特許侵害で提訴。米イリノイ州北部連邦地方裁判所がこの案件を受理した。

訴状によれば、ハイテラ社はモトローラの元従業員を採用し、無断でモトローラの営業秘密情報を取得するよう指示したという。元従業員らはモトローラ在籍中に社内データベースから営業秘密情報を取得し、その技術をハイテラで使用する意図を示すメールを送信していた。

2007年から2020年にかけて、ハイテラと元従業員はモトローラの営業秘密を利用し、DMR(デジタル移動無線通信)製品の開発を加速させ、従業員の訓練を行い、製品を世界中で販売していたとされる。

裁判の進展

2020年3月5日、米イリノイ州裁判所はハイテラ社とその子会社に対し、モトローラの営業秘密および著作権侵害で7億6500万ドル(約1200億円)の賠償を命じた。これに対しハイテラは不服を申し立て、2022年に中国の深セン市中級人民法院へ訴訟を提起したが、米連邦裁判所はこれに対し訴訟禁止命令を発令した。

2024年4月8日、ハイテラは公告を発表し、裁判所からの判決を受け取ったことを明らかにした。判決では、米連邦裁判所は同社が訴訟禁止命令を完全には遵守していないと認定し、同命令を完全に遵守するまで以下の措置を講じることを命じた。

・双方向無線通信技術を用いた製品の全世界での販売を一時的に禁止。

・1日あたり100万ドルの罰金を科す。

この事件は、米中間の技術覇権争いが絡む一連の訴訟の一環として注目されている。

 

林燕
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