2024年の企業倒産件数が1万6件(前年比15.1%増)となり、11年ぶりに1万件を超えたことが15日、東京商工リサーチの調査で明らかになった。負債総額は2兆3435億3800万円(同2.4%減)だった。物価高や人手不足の影響が長引き、中小企業を中心に経営環境の厳しさが浮き彫りとなった。
倒産件数は3年連続で増加。2013年以来の高水準となった。負債総額は3年連続で2兆円台を記録したが、大型倒産が少なかったため前年を下回った。
産業別では、サービス業他が3329件(前年比13.2%増)で最多。「サービス業他」は、日本標準産業分類において他の具体的なサービス業に該当しない職種を指し、個人向け(美容、クリーニング、葬祭業)や事業向け(警備、ビル管理、コンサルティング)、文化関連(芸術、娯楽)など、多様な業種が含まれる。建設業も1924件(同13.6%増)と増加が目立った。建設業では2024年4月から適用された時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」の影響が大きいとみられる。
地域別では全国9地区すべてで前年を上回った。特に東北が568件(同30.8%増)と14年ぶりに500件を超え、地方経済の苦境が鮮明になった。
背景には、円安による物価上昇や人手不足、最低賃金引き上げによる人件費増加がある。また、新型コロナウイルス対策で実施された資金繰り支援による過剰債務の解消の遅れも企業収益を圧迫した。
東京商工リサーチは「物価高に加え、経営者の高齢化や人手不足の影響が今後さらに加速する可能性がある」と指摘。2025年も倒産件数は緩やかに増加すると予測している。
日本経済の構造的課題が浮き彫りとなった今回の調査結果は、今後の経済政策や企業の経営戦略に大きな影響を与えそうだ。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。