中国鉄鋼業 2024年に収益が半減以下に

2025/01/31 更新: 2025/01/31

中国の鉄鋼業界が深刻な収益悪化に直面している。中国の国家統計局の発表によると、2024年の中国鉄鋼業の利益総額は前年比54.6%減の291億9千万元(約6130億円)にとどまった。この数字は、過去3年連続で1千億元を下回っており、業界の苦境が長期化していることを示している。

特に注目すべきは、この利益総額が新型コロナウイルス感染症の流行前である2019年の約1割程度にまで落ち込んでいることだ。さらに、過剰生産による鉄鋼不況に見舞われた2015年の590億元の半分程度という厳しい状況に陥っている。

この収益悪化の主な要因は、鋼材の販売価格の大幅な低下にある。中国の鉄鋼メーカーは輸出を増やすことで販売量を高水準に保とうとしたが、それでも価格下落の影響を避けることはできなかった。

背景には、中国国内の需要低迷がある。特に不動産市場の長引く低迷や製造業活動の縮小が、国内の鉄鋼価格を押し下げている。その結果、中国製の鉄鋼製品が大量に海外市場に流れ込み、国際的な貿易摩擦を引き起こす一因となっている。

中国宝武鋼鉄集団は、現在の危機が2008年や2015年の低迷期よりも深刻だと警告を発している。この状況は、中国鉄鋼業界全体に重くのしかかっており、多くの企業が経営難に直面している。

この状況は「三高三低」と表現される。これは、高供給、高輸出、高コスト、低価格、低利益、低需要を意味し、業界全体が直面している複合的な課題を端的に表している。

今後、中国共産党政権や業界がどのような対策を講じるかが注目される。過剰生産能力の削減や新たな需要創出など、抜本的な改革が求められる可能性が高い。しかし、雇用への影響や経済成長への寄与を考慮すると、簡単には解決できない問題であることは明らかだ。

中国鉄鋼業の動向は、世界の鉄鋼市場に大きな影響を与える。日本を含む他国の鉄鋼メーカーにとっても、この状況を注視し、適切な戦略を立てることが重要となるだろう。 

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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