中谷元防衛相は24日、フィリピンの首都マニラでテオドロ国防相と会談し、防衛装備品の輸出拡大に向けて両国の防衛当局間でハイレベルの協議枠組みを設置することで合意した。この動きは、南シナ海での中国の威圧的行動を念頭に置いたものであり、フィリピン軍の能力向上を図る狙いがある。
会談後の共同記者発表で中谷防衛相は「安全保障環境が厳しさを増す中、防衛面での協力をさらなる高みに引き上げる必要がある」と述べ、防衛装備や技術協力、部隊間の運用、人的交流の3分野で「両国の連携をスピード感を持って深めることで一致した」と明らかにした。
具体的な合意事項として、自衛隊とフィリピン軍の連携強化のため、部隊運用担当者間の「戦略的対話」を立ち上げることが決定された。また、両国は安全保障に関する機密情報の交換の在り方についても協議を開始することで合意した。
この会談に先立ち、中谷防衛相は23日にワレス空軍基地を訪問し、日本が輸出した防空レーダーを視察した。このレーダーは、日本が2014年に防衛装備移転三原則を制定して以降、初めて完成品として輸出されたものである。
中谷防衛相は視察後、「日本の技術がフィリピンの国防に役立っていることを大変うれしく感じた」と述べ、「この地域では中国の船舶が頻繁に行動し、大型化し装備も強力になっている。よりしっかりとした警戒監視が必要だ」と強調した。
日本とフィリピンの防衛協力は、2016年に両国間で防衛装備品・技術移転協定が署名されて以降、着実に進展している。今回の合意は、両国の安全保障協力をさらに深化させる重要な一歩となる可能性がある。
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