「みんな楽しく新年を祝っているというのに、私たちにはお金がない。生活にも困窮している、もう本当に生きていけない」
ーーある日、銀行に預けていた全預金を不当に凍結された中国市民の訴え。
河南省と安徽省の複数の銀行は、2022年4月中旬以降、顧客の全ての預金を凍結した。預金者が受けた被害の規模は400億元(約8172億円)に上る。影響は約40万人に及んだ。
地元政府は「問題を解決する」というが、実際に預金を引き出せたのはごく一部だけ、50万元(約1千万円)以上の預金を持つ他省の預金者の場合は3年経ったいまも凍結され続けており、苦情を申し立てる手段もない。
過去3年間、預金を凍結された市民たちは、預金の返却を求めるため何度も何度も河南省へ赴き、抗議してきた。しかし、毎回のことながら河南省警察によって拉致・監禁・拷問されるなど、容赦ない鎮圧を受けている。
また、中国のネット上でも同件に関する投稿は検閲され、世論に訴えようにも声を封じられている。

3年
預金を不当に凍結されてはや3年。未だに引き出せない。もはや銀行に「お金を奪われた」も同然の状態である。
しかし、それでもなんとか預金を取り返さなければ、預金者のほうが生活できなくなってしまう。
預金凍結された市民のなかには生活に困窮し、今では市場で捨てられる菜っ葉などの「野菜のクズ」を拾って食いつないだり、町に落ちているペットボトルや段ボールなどを拾い集めてそれを売って生活の足しにする人もいる。

また、預金を引き出せないために、病気の家族の治療費が払えず、家族が治療も受けられずに死んでゆくのを、ただ見ているしかないという人もいる。
なかには、預金を引き出せないことで資金難に陥り、倒産する企業も少なくない。
(「銀行は我われの預金を返せ」などと書かれた複数の横断幕を掲げて抗議する預金者たち、河南省、2023年4月2日)
警察が「抗議者を拉致、監禁する」という不条理
去年もそうだった。今年も旧正月が間近に迫るなか、生活に困窮したこれらの預金者3人は再び河南の地に向かった。
当然ながら3人は逮捕され、拘置所に放り込まれて拷問に遭った。地下裁判にかけられて判決も受け、年越し前にようやく釈放されたことがわかった。
「不当拘束中に毒を盛られ、わざと治療をさせてくれなかった」と当事者とその家族はNTD新唐人テレビの取材に明かしている。
逮捕された預金者の1人・歐陽雲さんの妻によれば、「歐陽雲さんは拘束期間中に体重は15キロも激減し、髪の毛が真っ白になった。顔つきまでもがひどく変わり果てた。拘置所のなかで新型コロナにも感染し、いまは健康状態がひどい」という。
逮捕された別の預金者、施堅堅さんの場合、「獄中で皮膚病にかかり、20キロ以上体重が落ちた」という。
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