いすゞ 対米投資約430億円でトラック工場建設へ 年間5万台生産目指す

2025/02/12 更新: 2025/02/12

いすゞ自動車は、2025年2月12日、米国サウスカロライナ州に新たな生産拠点を設立すると発表した。この新工場は、北米での商用車需要の増加と電動化の進展を見据えた戦略的な投資となる。

総投資額は約2億8000万ドル(約430億円)で、2027年中の稼働開始を予定している。新工場では、小型トラック「エルフ」の海外仕様である「Nシリーズ」と、中型トラック「フォワード」の海外仕様「Fシリーズ」を生産する計画だ。

注目すべき点は、この新工場が、いすゞグループとして初となるコンベアレス・ピットレス式を採用し、電気自動車(EV)からガソリン車、ディーゼル車まで幅広い車種の生産に対応できる点である。いすゞは、商用車における中長期的な電動化の流れを見据えながら内燃機関車の需要にも、対応可能な変種変量生産方式を導入する。

新工場の従業員数は700人以上を予定しており、2030年時点での年間生産能力は約5万台を目指している。いすゞは、1984年より北米市場に参入し、重要な成長領域と位置付けており、2023年度には過去最高の4.4万台を販売している。

今回のこの投資計画は、日米関係にも影響を与えている。2月7日(米国時間)に行われた日米首脳会談で、石破茂首相がいすゞの投資計画に言及したことが報じられている。

いすゞの新工場建設は、米国の自動車産業と日本企業の関係に新たな一石を投じるものとなりそうだ。今後の北米商用車市場の動向と、いすゞの戦略展開が注目される。

一方、エポックタイムズ記者は、いすゞ自動車の広報担当に、「現在、中国事業からの撤退について検討しているか」について確認したところ、「現状、特に検討していない」との返答を得た。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
関連特集: 日本経済