ディズニー DEI方針見直し 企業価値優先へ

2025/02/14 更新: 2025/02/14

トランプ政権がDEI(多様性、公平性、包摂性)プログラム廃止を推進する中、ディズニーがDEI方針を見直した。この変更に伴い、ディズニーはDisney+で配信される一部の古い映画の再生前に表示される注意書きの文言を改訂している。

これまでディズニーは、『ダンボ』や『ピーター・パン』などの古い映画の再生前に、「この作品には民族や文化に対する否定的な描写や虐待が含まれています」といった免責声明を表示していた。従来の注意書きには、「これらのステレオタイプは当時も現在も誤りであり、その有害な影響を認め、そこから学び、対話を促して、より包括的な未来を共に築きたいと考えています」と記載されていた。

新たな注意事項では、これらの警告が簡素化され、「本作品はオリジナルのまま提供されており、ステレオタイプや否定的な描写が含まれている可能性があります」と表記される。

DEI方針の転換

AxiosVarietyの報道によると、ディズニーは経営陣向けの覚書で、「これまでのDEI活動を、企業価値やビジネス目標を優先する新たな戦略に移行する」と説明した。この変更により、役員の報酬評価基準において従来の「多様性と包括性」が廃止され、「人材戦略」という新たな指標を導入する。この指標では、経営陣が会社の価値観を体現し、多様な視点を取り入れてビジネスの成功を促進し、強固な人材パイプラインを維持しているかが評価される。

また、2021年に導入されたDEIを重視する「Reimagine Tomorrow」プログラムも新たなフレームワークに置き換えられる予定である。

DEIへの批判と影響

ディズニーのDEIプログラムは、2022年にスティーブン・ミラー氏率いるAmerica First Legal Foundationから批判を受けた。同団体は、「多様性と包括性を高める取り組みが民権法に違反しており、企業価値を下げている」と主張している。

さらにディズニーは、2024年公開予定のアニメシリーズ『Win or Lose』からトランスジェンダーをテーマにしたエピソードを削除している。一部の親から懸念が寄せられたことが判断の背景にある。

アメリカ企業全体でのDEI縮小の流れ

アメリカ企業では、近年DEI関連予算の削減が進んでいる。2023年6月、最高裁が大学入試での「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」を違憲と判断した後、Meta、Home Depot、LyftなどがDEI予算やスタッフを半分以上削減している。イーロン・マスク氏が率いるX(旧Twitter)は、DEIチームを30人から2人に縮小した。

金融業界でも、ゴールドマン・サックスが黒人学生向けプログラムを白人学生に開放し、バンク・オブ・アメリカは特定の少数派を優遇する方針を全社員に拡大するなど、方針転換が進んでいる。

トランプ大統領は、再選後初日にDEI禁止令を発令すると公言しており、過去数年にわたって推進されてきたDEI運動は岐路に立たされている。

また、2月にはノースカロライナ州の公立大学が、DEI関連の単位取得要件をすべて廃止した。アマゾンやアクセンチュアといった大手企業も、従業員政策から「多様性と平等推進」を削除している。
 

秋生
中国語大紀元の記者
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