日産自動車の内田誠社長は、米国がメキシコからの輸入製品に25%の関税を課した場合、同社の生産体制に大きな影響を及ぼす可能性があると懸念を示した。必要に応じて生産拠点を移転することも視野に入れる考えだ。
「当社は米国向けに大量の車両を輸出しており、高関税が課されれば事業に大きな影響を及ぼす。慎重に状況を見極める必要がある」と、内田氏は2月13日の記者会見で述べた。
日産はメキシコから「相当な台数」を米国に輸出しており、関税が引き上げられれば大きな打撃となる。内田氏は「関税が引き上げられた場合に備え、対応策を検討する必要がある。場合によっては、現在輸出しているモデルを他国で生産し輸出することも社内で検討する」とし「どのような形で対応できるかは、状況を見極めながら判断する必要がある」と語った。
米国、メキシコ・カナダに関税引き上げを警告
2024年の米大統領選後、トランプ大統領は、メキシコとカナダが違法移民や麻薬密輸の取り締まりを強化しなければ、25%の関税を課すと警告した。当初は2月に発動予定だったが、両国との協議を受け、1か月延期した。
トランプ氏は中国に対しても10%の追加関税を発動した。中国が違法薬物の原料となるフェンタニルの製造を抑制できていないためという。
この追加関税に対し、中国共産党政権は米国産の天然ガスや石炭、農業機器などに対する報復関税を発表。メキシコやカナダも対抗措置を示唆しており、カナダは米国北部の州へのエネルギー供給を制限する可能性を示唆した。
鉄鋼・アルミニウムの関税強化へ
トランプ氏は、インドやEUなどの製品にも追加関税を課す可能性を示唆。先週には、米国への鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を強化する大統領令に署名した。
同大統領令では「鉄鋼およびアルミニウムへの関税は、国内産業の活性化と持続可能な生産能力の維持を目的とする」とされている。
日産とホンダ、経営統合協議を打ち切り
内田氏の発言は、同社とホンダが経営統合に向けた協議を打ち切った後に出たものだ。
両社は共同声明で「意思決定、経営施策実行のスピードを優先するためには経営統合の実行を見送ることが適切であるとの判断に至った」と説明した。
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