長期金利10年もの国債利回り 一時1.43%まで上昇  国債落札価格が下落 影響は?

2025/02/18 更新: 2025/02/18

日本の長期金利の指標となる10年国債利回りが18日、一時1.43%まで上昇し、国債価格の下落が進んでいる。ロイター通信によると、20年物国債の入札結果は最低落札価格が99円05銭(最高落札利回り2.067%)となり、財務省が発表した国債の人気度を示す応札倍率は3.06倍で、前回の3.79倍から低下した。

国債価格と金利は逆の関係にあり、金利上昇は国債価格の下落を意味する。この国債価格の下落は、金融機関や年金基金に大きな影響を与える可能性がでてくる。特に、国債を大量に保有するゆうちょ銀行や公的年金への影響が懸念される。

また、国債価格の下落は政府の財政にも影響を及ぼす。財務省の資料によれば、2024年度末(2025年3月末)の見込みでは、普通国債残高は約1105兆円まで増加すると予測されており、金利上昇に伴う評価損がかさむ可能性がある。

ブルームバーグによると日本銀行は昨年5月29日、保有する国債を時価でみた評価損が9兆4337億円となり、3月末時点として過去最大になったと発表した。

また新規発行する国債の金利も上昇するため、政府の利払い費用が増加することも予想される。

企業にとっては、資金調達コストの上昇につながる可能性がある。これにより、投資や事業拡大に影響が出る可能性も指摘している。

長期金利の上昇は、すでに資産を持つ人々にとってはプラスの影響を与える。預金金利の上昇により、貯蓄からより多くの利息収入を得られるようになり、個人向け国債の利回りも上昇するため、投資可能な資金を持つ人々にとっては有利になる。

一方で、低所得者層や負債を抱える人々にとっては、長期金利の上昇はマイナスの影響を及ぼす。住宅ローンなどの借入金利が上昇し、返済負担が増加する。また、企業の資金調達コストが上昇することで、雇用や賃金に悪影響を与える可能性もでてくる。

日本経済がデフレから脱却しつつあることを示す指標とも捉えられている。しかし、急激な金利上昇は経済全体に悪影響を及ぼす可能性もあるため、日本銀行は慎重な政策運営を求められている。

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