「160円常態化」に強い牽制 政府・日銀5兆円規模の円買い介入

2026/05/02 更新: 2026/05/02

2024年4月30日、政府・日本銀行は、およそ5兆円規模と推計される「円買い・ドル売り」の為替介入を実施したとみられている。この介入については、輸入コストの上昇による家計負担の軽減効果に加え、1ドル=160円という円安水準の定着を牽制する目的があったと専門家から指摘されている。一方で、過去の円高期に蓄積した外貨(米国債など)を原資とする為替介入は、一時的な変動を抑える効果はあるものの、長期的な為替トレンドの転換は難しいとの見方も存在する。本記事では、アメリカの金利動向や中東の地政学リスクなどを背景とした円安圧力が続く中、為替介入の仕組みと市場への影響、そして日銀の金融政策をめぐる現状について客観的な視点から紐解いていく。

為替介入の規模と市場の反応

日本経済新聞の報道によると、政府と日銀が2024年4月30日に実施した円買いの為替介入は、5兆円規模であったとの観測が市場で浮上している。

この5兆円という規模は、日銀が公表したデータと、市場による事前の予測値との間に生じた『ズレ(差額)』をもとに推測されている。具体的には、日銀が5月1日に発表した当座預金残高の見通しにおいて、為替介入などの資金の動きを示す項目が、事前の予測から約5兆円分ずれていた。この予測から外れた差額分が為替介入に使われたお金であると考えられるため、市場は5兆円規模の介入があったとみている。この介入の影響により、1日の東京市場では円相場が一時1ドル=155円台半ばまで急騰する場面が見られ、為替相場に大きな変動をもたらした。

介入の仕組みとメリット・デメリット

経済アナリストの馬渕磨理子氏は、自身の動画チャンネルで、為替介入に対する「税金の無駄遣い」という批判は誤解であると指摘している。日本の為替介入の原資は、かつて円高の時期に買い貯めたドル(主に米国債)であり、これを現在の円安水準で売却するため、結果として大幅な含み益が出る構造になっているという。

同氏は為替介入のメリットとして、急激な為替変動を抑制し、輸入コストを下げて家計負担や物価上昇への圧力を和らげる効果がある点を挙げている。一方で、介入の効果はあくまで一時的であり、長期的な円安トレンドそのものを転換させることは難しいというデメリットも指摘している。さらに、現在進行している円安の背景には、アメリカの利下げ後退に伴うドル高や、中東情勢を受けた有事のドル買いなどがあり、日本単独の介入で完全にコントロールできるものではないと説明している。

介入の目的と日銀の金融政策への見方

エコノミストのエミン・ユルマズ氏は、1日に配信された動画チャンネル「楽待」の番組の中で、今回の介入の目的について、1ドル160円という水準が「新しいノーマル(常態)」として定着し、市場が居心地良くならないようにするための政府の強い牽制であると分析している。

もし実弾介入の効果が限定的であった場合、政府や日銀には介入以外の手段も残されていると同氏は述べる。具体的には、現在進められている日銀のバランスシート縮小の加速や、本格的な利上げへの踏み切りなどが考えられる。ただし同氏は、日銀の金融政策に関して、景気が良くインフレ傾向が見え始めた段階で早期に利上げを行っておくべきだったと指摘している。政策金利の引き上げはバランスシート縮小よりも景気へのマイナスインパクトが大きいと懸念されており、現在のようにグローバルな景気減速懸念がある状況下では、日銀が容易に利上げに踏み切れないジレンマを抱えていると分析している。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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