ドイツ総選挙 保守派が最多議席を獲得 極右AfD第2党に躍進 組閣交渉は難航か

2025/02/24 更新: 2025/02/24

2月23日、ドイツで総選挙が行われた。出口調査の結果、保守政党が最多議席を獲得し、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進した。今後、保守派政党による内閣の組織に向けた交渉は難航する可能性が高い。

出口調査によると、キリスト教民主同盟(CDU)とその姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)からなるキリスト教民主・社会同盟が29%で首位を獲得。一方、極右政党AfDは19%の得票率を記録し、過去最高の支持を得て主要野党の地位を確立した。現政権を率いる社会民主党(SPD)は16%にとどまり、大きく後退した。

メルツ党首、復活祭までの新政権発足に意欲

CDUの党首であるフリードリヒ・メルツ氏は、選挙の最終結果を確認した上で連立相手を決定すると述べ、「復活祭(イースター)までに新政権を発足させる」との意向を示した。

69歳のメルツ氏は、コンラート・アデナウアー氏以来、最も高齢での就任となるドイツ首相となる見通しだ。

メルツ氏は「今後、各党と協議を行い、議会で多数派を確保できる安定した政府を樹立することが最優先だ」と述べた。

 ショルツ首相、敗北を認めつつ「極右とは連立しない」

現職のショルツ首相は、敗北を認めキリスト教民主・社会同盟の勝利を祝福したものの、極右政党との協力は一切行わないと明言した。

同氏は「極右政党とは一切連立しない。社会民主党はこの方針を堅持する」と語った。

今回の選挙結果は、ドイツの政治に大きな影響を与えることが予想される。キリスト教民主・社会同盟は他の政党と連立を組む必要があるが、メルツ氏は、極右政党AfDとの連立を明確に否定している。これにより、連立交渉は一層複雑化するとみられる。

AfDの歴史的躍進—ドイツ政治の右傾化進む

また、AfDの支持拡大は、ドイツ政治の右傾化を反映している。19%の得票率は、同党にとって過去最高の支持率。これは、多くの有権者が既存の主要政党に不満を抱いていること、そして移民政策や経済問題に強い関心を持っていることを示している。

 AfD共同党首のアリス・ワイデル氏は、今回の結果を「歴史的な成果」と評価し

「これほどの影響力を持つのは初めてだ。我々は今、ドイツで2番目に大きな政治勢力となり、国民政党としての立場を確立した」と述べた。

史上最高の投票率—国民の政治関心が反映

さらに、今回の総選挙では投票率が84%に達し、1990年のドイツ統一以来、過去最高を記録した。

ドイツの有権者シルケ・ガイベルさんは「投票率が84%に達したのは、民主主義にとって非常に良いこと。これは国民が選挙の重要性を認識している証拠だと思う」と語った」この高投票率は、国民の政治に対する関心の高さを示している。

ドイツはEU最大の経済大国であり、ウクライナへの軍事支援ではアメリカに次ぐ第2の武器装備供給国でもある。そのため、新政権の成立が遅れたり、政治的な不安定が続いたりすれば、EU全体や国際情勢にも影響を及ぼす可能性がある。

今回の選挙は、昨年末にショルツ政権の連立与党が内部分裂により崩壊し、解散総選挙が行われたことを受けて実施された。

于良
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