日本製鉄の今井正社長は25日、アメリカの大手鉄鋼メーカー「USスチール」の買収計画について、現在の合併契約を基本的な出発点としてトランプ大統領との協議に臨む考えを示した。この発言は、トランプ大統領が示した「USスチールの株式過半数取得を認めない」という姿勢と対立する可能性があり、今後の交渉の行方が注目される。
今井社長は報道各社の取材に対し、「出資と設備投資は切り離して考えることはできない。出資するからこそ大きな投資判断ができる」と述べ、現在の買収計画の重要性を強調した。さらに、「アメリカ政府と協議を進めていくが、基本的な出発点は今の合併契約になると思う」と付け加え、子会社化を目指す現在の計画を維持する意向を明らかにした。
一方、トランプ大統領は今月7日の日米首脳会談後の共同記者会見で、日本製鉄による買収ではなく「多額の投資」で合意したと発言。さらに9日には、USスチールの株式過半数取得を認めない考えを示した。これらの発言は、日本製鉄の現在の買収計画と相反する可能性がある。
今井社長は、トランプ大統領との会談について、「大統領が記者会見で1週間後にでも会うと発言したのは認識しているが、行政当局と協議を踏まえたうえでの話だと思うので、現時点では何も決まっていない」と説明した。
日本製鉄は2023年12月、約2兆円を投じてUSスチールを買収する計画を発表した。しかし、この計画はバイデン前政権下で一度中止命令が出されている。
今後、日本製鉄とトランプ政権がどのように折り合いをつけていくかが焦点となる。日米両国の経済関係や鉄鋼業界の将来にも大きな影響を与える可能性があり、交渉の行方が注目される。
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