3月4日から中国共産党の全国人民代表大会と中国人民政治協商会議(以下「両会」)が開催されている。
今年の両会期間中も、例年と同様、北京で厳重な警備体制が敷かれていた。各地でも地元民が陳情などに訪れないように警戒している。
今月に入り、北京市内の路上や交差点、橋、路線バス車内などにも監視員が配置され、パトロールしているという。
北京の至るところに大勢の武装警察や警備員、密告するための治安要員「朝陽群衆(北京市の朝陽区に住む市民の中で、警察や政府と協力して社会の安全維持に関与する人々)」らが総がかりで市民の一挙一動を監視している。
これらの「治安維持要員」は、街を歩く市民に対して、いつでも職務質問をするほか、持ち物の抜き打ち検査なども行うのだ。

また、抗議者が選ぶ人気の抗議スポットのトップとなっている「天安門広場」では特に警備が強化され、武装した警官による24時間体制でパトロールするなどして「安定維持」にあたっている。
天安門広場を通ろうとするだけで身分証の提示と荷物検査など、幾重ものセキュリティチェックをクリアしなければならない。
面倒に巻き込まれるのが嫌なのか、それとも上からの指令かわからないが、北京の一部タクシーが、「両会」に関連した場所へ行こうとする客の乗車を拒否していることも、一部メディアによって報じられている。
このほか、地方からの陳情民が北京入りすることを阻止するため、列車などを利用して北京へ来る(陳情者以外の)民衆に対しても、執拗な検査や実名認証が行われている。
各地の反体制派や人権活動家は、現地警察によって厳重に監視され、「軟禁状態」に置かれているという。
(山東省の高速鉄道駅で北京行きの列車に乗ろうとする乗客の荷物をチェックする検査人員)
北京では、今回のような重要会議があるたび、繰り返されるこうした異様な警戒ぶりが、これはもはや一種の「滑稽な風景である」というしかない。
つまり「重要会議」期間中の中国は、例えば海外からのテロリズムや破壊活動に対して警戒しているのではなく、自国のなかで「本当のことを言う、覚醒した民衆」の出現を恐れているのだ。言い換えれば、この仰々しいほどの警備は、中共自身が内包する恐怖心の反映であると、見てもよいのである。
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