中国では毎年3月15日の「世界消費者権利デー」に合わせ、官製メディアは食品安全に関わる問題を暴く特別番組を放送することが通例となっている。しかし、こうした報道が繰り返されても、中国における食品安全の問題に関わる事件は後を絶たない。
最近、中国メディアは同国の複数の黄桃缶詰工場の製造工程を撮影した動画を公開し、大きな波紋を呼んでいる。
(潜入)動画に映るのはいずれもあまりにずさんな衛生管理の工場内の様子だ。汚れた床に落ちた桃は拾われてそのまま使われ、また大量に虫が発生(付着)した桃も軽く洗っただけでそのまま加工していたのだ。


虫食い桃に関して工場の責任者は記者の潜入取材に対し、「虫もタンパク質」と驚くべき説明を行った。
また工場責任者によれば、生産日の改ざんは業界内であればみんなやっていることだという。

中国の食品安全機関による最新調査によると、検査対象となった12種の低価格帯の黄桃缶詰のうち、9種から寄生虫を検出し、6種類は基準値を超えた農薬の残留があった。また、一部の工場では品質の悪い桃の腐敗臭を隠し甘味を強めるために、違法な添加物を使用していたことも判明した。
(缶詰工場内の様子)
黄桃缶詰の安全性を巡る問題は今回が初めてではない。2016年には、吉林省長春市の消費者が「林家鋪子」というメーカーの黄桃缶詰のなかから虫を発見し、メーカーに苦情を申し立てていた。当時、メーカー側は「製造工程での不備」と謝罪し賠償を行った。
昔から存在し、そして全く改善されない食品問題について、消費者の怒りも大きい。
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