「ギャングの機密情報がニューヨーク・タイムズに漏洩された件」 米司法省が捜査開始

2025/03/23 更新: 2025/03/24

米司法省は22日、ベネズエラの犯罪組織「トレン・デ・アラグア(Tren de Aragua)」に関する機密情報を報道機関に漏えいされた件について、刑事捜査を開始したと発表した。この情報は、トランプ米大統領が進める同組織への強制送還政策の法的根拠を揺るがす可能性がある。

トッド・ブランチ司法副長官は3月21日、声明を発表し、「不正確ながらも機密指定された情報の選別的な漏えい」について調査を行っていることを明らかにした。トレン・デ・アラグアは、国務省により外国のテロ組織に指定されている。

同組織は、トランプ氏の移民政策および国家安全保障政策において主要な焦点となっている。3月15日、トランプ氏は1798年制定の「敵性外国人法(Alien Enemies Act)」を発動し、トレン・デ・アラグアの構成員を「外国政府と連携して米国に侵入する敵性外国人」として即時の拘束・送還を命じた。これは戦時下に限り用いられてきた、極めて異例の措置である。

この大統領布告により、通常の法的手続きを経ずに同組織構成員を拘束・送還することが可能となるが、法的な異議申し立てや世論の批判も巻き起こっている。

そうした中、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は3月21日、2月26日付の機密情報が漏えいしたと報じた。この文書では、情報分析官が「中程度の確信度」で、トレン・デ・アラグアがベネズエラ政府の指示や協力のもとに活動しているとは言い切れないとの評価を示しており、トランプ氏の布告の法的根拠を揺るがす内容となっている。大紀元はこの報告書の真偽を独自には確認していない。

トランプ氏の布告は、同組織を「犯罪国家によるハイブリッド攻撃の一環」と位置づけ、「略奪的な侵攻」と形容している。

ブランチ副長官はこの漏えいを強く非難し、「ディープ・ステートによる、政治的動機に基づく妨害工作」であると主張した。

「ニューヨーク・タイムズのようなメディアと結託して虚偽の情報を流布し、大統領の政策を妨害するディープ・ステート(闇の政府)の動きは断じて容認できない。『敵性外国人法』に基づく布告は、事実・法・常識に裏打ちされたものであり、裁判所で正当性を立証し、トレン・デ・アラグアのテロリストをこの国から追放する」と述べた。

これに対し、ニューヨーク・タイムズの広報担当者は報道の正当性を擁護し、報道の自由の重要性を強調した。

「報道の自由は民主主義の根幹であり、市民が政府を監視するために不可欠なものです。リークに対する捜査は、記者と情報提供者の間のコミュニケーションを萎縮させ、国民に知らされるべき重要な情報が隠される結果を招きかねない」と声明で述べた。

さらに、「我々の報道は、国民が国家安全保障に関する重要な問題について正しい情報を得ているかどうかに疑問を投げかけるものであり、それこそが記者の本来の役割である」と続けた。

一方、国土安全保障省(DHS)および移民・関税執行局(ICE)は、3月21日に共同声明を出し、トレン・デ・アラグアの構成員68人を1週間以内に逮捕したと発表した。これは、同組織がテロ組織に指定されたことで、政府全体による対応が可能となった成果だとしている。

「トレン・デ・アラグアは、レイプ、麻薬取引、殺人を行うテロ組織だ。我々はこのような連中をアメリカの街から排除し、法の裁きを受けさせ続ける」とDHSの報道官は語った。

政府によれば、過去100日間で同組織の構成員394人が逮捕されている。彼らは、人身売買や誘拐、さらには看護学生レイケン・ライリーさんや12歳のジョスリン・ヌンガレイさんの殺害事件にも関与しているとされる。

さらにFBIも3月19日、トレン・デ・アラグアを含む国際犯罪組織に対するテロ対策任務を拡大すると発表した。

「国境の安全は、我が国の安全および市民生活の安全を守るために不可欠だ」とFBIのパテル長官は声明で述べ、「新たにテロ組織に指定されたギャングやカルテルの構成員も監視リストに加える。この変更により、法執行機関および情報機関が連携して暴力犯罪の撲滅に取り組む体制が強化される」とした。

この取り組みは、トレン・デ・アラグアを含む主要な8つのギャングおよびカルテルを、国務省が「外国テロ組織」および「特別指定グローバルテロリスト」に指定した動きに連動するものである。これにより、政府は関係者の資産凍結、金融制裁、ビザ発給拒否といった措置を講じやすくなる。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。
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