中共情報機関への関与容疑 ドイツ検察 議員元スタッフを起訴

2025/04/30 更新: 2025/04/30

4月29日、ドイツ連邦検察庁は、欧州議会でドイツ議員のスタッフを務めていた中国系のJian Guo被告を、中国共産党(中共)情報機関のために、スパイ活動を行っていた疑いで正式に起訴した。

検察によると、Guo被告は2019年9月から2024年4月にかけて中共政権の情報機関に対し、欧州議会内での交渉内容や意思決定に関する情報を提供していたとされ、押収された証拠には約500点の文書が含まれ、その中には「高度機密」に指定された資料も含まれていたという。

さらに、Guo被告は、ドイツ国内で中国政府に批判的な人物を監視していたほか、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の有力政治家に関する情報も収集していた疑いが持たれた。

Guo被告は、ドイツ国籍を持ち、現在も拘束中。かつてはAfD所属で、欧州議会議員のマクシミリアン・クラー氏の補佐官を務めていた。クラー氏は、昨年の欧州議会選挙でAfDの筆頭候補だったが、この事件が明るみに出た後、党はクラー氏の立候補を取り消した。一方で、クラー氏は、今年の連邦議会選挙で当選し、議員に就任した。

また、検察は同日、中国籍のYaqi X被告もスパイ行為の疑いで起訴したと発表した。Yaqi被告は、ドイツ東部ライプツィヒの物流会社に勤務しており、Guo被告に対して、空港の貨物情報や軍事関連の輸送情報などを提供していた疑いがある。彼女は、昨年9月に逮捕され、自宅と職場が家宅捜索を受けた。

近年、中国による政治・経済スパイ活動が、ドイツ国内で問題視されており、特に欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)の本部が置かれるブリュッセル周辺では、中国の情報活動が活発化していると、指摘されていた。

李皓月
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