日本維新の会の柳ヶ瀬裕文議員が19日の参議院予算委員会で、先日中国の反スパイ法に違反したとして、日本人に対して懲役12年という判決が宣告されたことを受け、「政府は今まで中国に対してどういう要求をしてきたのか? 」と質問した。
また、「森山幹事長率いる超党派議連は『パンダを貸してください』と中国に行って、その直後に尖閣は領空侵犯、不当に拘束されている日本人には懲役12年の判決が下りました。一体何をしているのか」と述べ、中国共産党(中共)当局の恣意的な対応に懸念を示した。
柳ヶ瀬議員は、「中国には罪刑法定主義はない」と指摘。「どういった行為がスパイ行為になるのか、何を見ても明確には書いていない。捜査、取り調べ、公判、一連手続きについても不透明で刑事手続における人権保障はない」と語った。
そのうえで「政府はしっかりと渡航の危険性を周知すべきだ」と訴えた。
中国の刑法や関連法律では「国家の安全」や「国家機密」という用語が頻繁に登場するが、定義が曖昧かつ抽象的だ。
2014年に「反スパイ法」が施行されて以降、日本人がスパイ行為に関与したと中国当局に拘束される事案が相次いでおり、これまでに少なくとも17人が拘束されている。
柳ヶ瀬議員の答弁に対し、外務省の岩本桂一局長は「これまでも首脳レベルを含めて様々なレベル、ルートを通じて中国政府に対して司法プロセスの透明性向上、そして邦人の早期釈放を求めてきている」と説明した。
「邦人への注意喚起についても、特に2023年に中国の反スパイ法改定を受けて、スパイ活動に該当する具体例を外務省のホームページで周知をしている」
「また、中国に住んでいる日本人と定期的に安全対策について協議する場を通じて周知を図ってきている。こうした取り組みを続けてまいりたい」と答えた。
これまでの政府対応については「情報発信が十分ではない」「邦人保護に対する姿勢が曖昧」との批判も根強い。
柳ヶ瀬議員は、「ぜひ総理もしっかりと危機感を持っていただきたい」と強調。「未だに12年の懲役を言い渡された人を含めて5人が不当に拘束をされているという現状をしっかりと正していくことが必要だ」と指摘した。
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