EU 対シリアへの経済制裁解除へ

2025/05/21 更新: 2025/05/21

20日夜、欧州理事会は、シリアに対する経済制裁を解除する方針を発表した。声明の冒頭では、「EUは過去14年間、シリア国民の側に立って政治的解決の模索に尽力し、財政支援を主導してきた。アサド政権に対して制裁を科してきた」とした。

シリアの移行期および経済回復を支援するために、「段階的かつ可逆的(状況に応じて見直し可能)」なアプローチを採用してきたが、これに伴い、EUは今年2月に一部の経済制裁を停止した。

EUは声明で、「今こそ、シリア国民が再び一つとなり、外国の有害な干渉を受けない、包摂的で多元的かつ平和な新しい国家を築くべき時だ」と強調した。

この動きに先立ち、アメリカのトランプ大統領は先週、中東歴訪中にシリアの暫定大統領アフマド・シャラー氏と会談する前に、シリア制裁の解除を発表していた。

2011年、アサド政権による民主化デモの武力弾圧が内戦の引き金となり、国際社会からの制裁を招いた。現在の暫定政権は、2024年12月に反体制派組織「シャーム解放機構(HTS)」を率いるシャラー氏が、アサド政権を打倒して発足させたもの。

ただし、EUは声明の中で、アサド政権と関係する制裁措置については継続するとし、「責任追及の義務を果たすため、また安全保障上の理由により、内乱鎮圧に転用され得る武器や技術に対する制裁は維持すると述べた。

また、EUは人権侵害に関与した人や、シリアの不安定化に寄与した個人・団体に対して、追加の制裁措置を講じる方針も示した。今後も、現地情勢や暴力事件に対する責任追及の進展、今回の決定がもたらす影響を注視するとしており、シリア関連の制裁全般について、継続的に見直していくとした。

これを受け、シリア暫定政府のアサアド・シャイバーニ外相は記者会見で、「EUの決定は、国際社会がシリア再建を支援する意思を示すものだ。シリア国民にとって、国家を再建する歴史的な好機が到来した」と述べた。

さらに、ドイツのヨハン・ヴァーデフル外相も20日、「新たな指導部に、真のチャンスを与えたい」と語り、「我々が期待するのは、あらゆる民族や宗教が参加する包摂的な政治の実現だ」と強調した。

趙鳳華
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