中国の不動産サービス企業、易居中国(イーハウス・チャイナ・ホールディングス)は、2021年以降4年連続で赤字を計上し、累積損失が200億元(約4千億円)を超える。資産負債率は479.68%に達し、債務と経営の危機に直面している。専門家からは上場廃止や破産の可能性も指摘。
2024年12月31日時点の監査済み年次業績によると、2024年の総収入は37.98億元で、前年比14.58%減少し、純損失は12.73億元に拡大。「中国不動産報」によると、2019年のピーク(90.95億元)から収入は半分以下に減少となる。従業員数は2018年の上場時2万4218人から2024年末には1770人に減少し、解雇率は90%を超えている。資産負債率は479.68%に急上昇し、流動比率は0.11、キャッシュは流動負債の3.56%しかカバーできず、3年連続で営業キャッシュフローがマイナスである。
会計監査人は2024年財務報告に「意見表明せず」とし、財務専門家はこれが収益認識の混乱や財務透明性の不足、継続営業への疑問からきていると分析する。
同社の社員は6月11日、「中国不動産報」に「業務は急激に落ち込み、影響は隅々に及んでいる」と語った。
易居中国は2000年設立以来、新築住宅販売や中古住宅販売、不動産コンサルティングを主力に成長し、一時は中国最大の不動産代理・コンサルティング企業として評価された。
しかし、現在は市場低迷の犠牲者となった。かつて恒大や万科との強い結びつきで利益を上げていたが、住宅企業の債務不履行ラッシュで大打撃を受けた。
匿名の業界関係者は「かつて恒大集団は、最大で35%の営業収入をもたらしていたが、債務不履行により約40億元の売掛金が不良債権化した。しかし、易居中国はこれに対して減損処理を速やかかつ十分に行わず、深刻な内部統制の欠陥を露呈した」と語った。また、2024年には不動産大手・万科が単一の最大顧客として、易居の売上の25.3%(9.63億元)を占めていた。
同社の財務データによると、2024年における新築住宅の代理販売サービスの収入は全体のわずか4.55%にとどまった。デジタルマーケティングサービスが54.8%の営業収益を支えているが、主要な取引先である不動産企業の縮小により、この分野も減少傾向にある。
華北地域のあるベテラン不動産販売責任者は、「易居中国の収入構造はあまりにも単一で、新築住宅の販売に90%以上を依存しており、中古住宅などの多様な事業による緩衝が欠如している」と指摘した。
また、「このモデルは本質的に大きなギャンブルだ。リスク管理能力が極めて脆弱で、新築住宅の販売は変動が激しい。大手不動産企業に過度に依存することは、すなわち自らの命運を彼らに委ねることだ」と述べた。
2021年以降、恒大などの主要株主兼顧客の経営破綻に伴い、易居中国の営業収入は急激に落ち込み、2020年には4.39億元の黒字だったが、2021年には122.65億元の巨額赤字に転落した。
華南地域の不動産研究機関のアナリストは「市場が回復局面に入ったが、易居中国の債務危機はむしろ悪化している」と分析。「この事態は、不動産サービス企業が特定顧客への過度な依存を避け、顧客の多様化を急ぐべきことを示している」と警告した。
易居中国は年次報告で「市場回復の恩恵」を強調したが、「企業改革が遅れれば、業界のかつての大手であっても上場廃止や破産を免れない」と厳しい見方もある。
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