ウォール街に見限られた中国株 上場廃止が加速

2025/06/25 更新: 2025/06/25

かつて米国資本と中国経済は密接に連携し、互いに利益を享受していた。ウォール街も一時期、中国企業株に対して強い熱狂を示していた。しかし現在、状況は一変した。中国経済は深刻な衰退局面に突入し、米国の投資家は中国企業への信頼を大きく損ないつつある。さらに、トランプ政権が強化した規制により、中国株の黄金時代は完全に終焉を迎えた。

中国の金融情報データプロバイダー「Wind」の統計によれば、2019年以降、80社を超える中国企業が米国の取引所から姿を消した。現在も上場を維持する中国企業株は約275社にとどまり、これらの時価総額はニューヨーク証券取引所およびナスダック全体の2%未満に過ぎない。

2024年、中国企業株の米国市場における新規上場はわずかに持ち直したが、規模の小さい投機的企業が中心であった。平均調達額は700万ドル(約10億円)を下回り、上場基準すら満たせない企業も混在していた。

今年5月に「ジーカー・オートモーティブ」がニューヨーク証券取引所に上場して以降、新たな中国企業の上場は途絶えた。この事実が、中国企業株ブームの終焉を象徴している。業界の観測筋も、中国企業株の全面撤退はもはや時間の問題と見ている。

2014年にはアリババが華やかなデビューを飾ったが、今やアリババはニューヨーク証券取引所で孤立し、かつて名を馳せた他の中国企業であるチャイナモバイル、中国東方航空、ペトロチャイナなどはすでに市場から姿を消して久しい。

米国政府はトランプ大統領の再任前から、中国企業への金融制裁を進めていた。下院「米中競争委員会」の委員長である共和党のモーレナール議員は、中国資本企業が中共と密接な関係を持ち、米国のビジネス機密を盗むとともに、人権問題も抱えていると警告した。モーレナール議員は米国証券取引委員会に対して、中国株の強制的な上場廃止を要求した。2023年以降、米国の複数の州が法律を整備し、州年金基金の中国株市場からの資金撤退を義務づけている。

ウォール街が中国企業株から距離を置くもう一つの要因は、中国企業の虚偽体質と高い破綻リスクだ。中でも「ラッキンコーヒー」は最も悪名高い例といえる。IPO(新規上場)から1年も経たずして会計不正が露見し、米証券取引委員会の処分によって市場から排除された。この事件を機に米中間で中国企業の帳簿監査に関する協定が締結されたものの、上場廃止の流れには歯止めがかかっていない。

さらに不可解な実態も浮かび上がっている。内部事情に詳しい関係者の証言によれば、一部の小規模中国企業は米国人に報酬を渡して口座を開設させ、第三者が取引を操り、株価上昇時に売り抜けて利ざやを得る手法を使っている。その後、株価は暴落し、米国人投資家が多大な損害を被るという構図が常態化している。

現在、S&P500の基準を満たす中国企業株は約10社しか存在せず、かつて熱狂の渦中にあった市場は、今や人影のない砂漠と化した。

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