中国製の電気自動車が原因で火災が発生した貨物船が米アラスカ州沖で沈没した。6月3日に洋上で火災が発生、乗組員22人は船を放棄して脱出した。
沈没した貨物船は『モーニング・ミダス(Morning Midas)」と名付け、リベリア船籍で登録している。5月26日に中国・山東省煙台市を出港し、メキシコのラサロ・カルデナス港に向かうと途中だった。
19日間の航海の8日目にあたる6月3日、アラスカ沖で現地時間午後7時過ぎ、甲板から大量の黒煙が上がっているのが確認された。火災が制御不能となり、乗組員22人は船を放棄して脱出した。
船には約3千台の自動車を積載しており、そのうち約800台がEVだった。火災発生後、船は陸地から約580キロ離れた太平洋中部に取り残された。
船を管理するゾディアック・マリタイム社は6月24日の声明で、悪天候が火災による損傷を悪化させ、船体に浸水が生じ、6月23日に最終的に沈没したと発表した。同社は、火災はEVを積載した甲板から煙が上がり始めたのが最初だったと述べている。
アメリカ沿岸警備隊が公開した映像や写真では、船尾から大量の黒煙が立ち上る様子が確認できる。事故の原因は現在も調査中。
EVに関連する火災は、発生する高温と再燃のリスクにより消火が難しく、数日間続く場合もある。保険大手のAllianzは先月の報告書で、リチウムイオン電池(EVを含む)の需要増加が、自動車運搬船の保険対象車両の総額を考慮すると、国際海運業界に新たなリスクをもたらしていると指摘した。
事故現場が陸地から遠く離れているため、救助活動はさらに困難を極めた。救助を支援する予定だった3隻の専門船のうち2隻目が6月15日に現場に到着した時点で、火災発生からすでに1週間以上が経過していた。
メディアの報道によると、貨物船の運航は上汽集団の子会社である安吉物流(Anji Logistics)が担当し、奇瑞汽車(チェリー・オートモービル)や長城汽車(グレート・ウォール・モーター)など複数のメーカーの車両をメキシコに向けて輸送中だった。
奇瑞汽車、長城汽車、安吉物流はいずれもメディアのコメント要請に応じていない。
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