イーロン・マスク氏は7月2日、Xに投稿し、トランプ大統領の外交的な取り組みを称賛した。そのわずか2日前には、トランプ氏が推進する「大きく美しい法案(Big and Beautiful Act)」を改めて批判し、同法案を支持する共和党議員の落選運動を呼びかけていた。これを受け、トランプ大統領は政府効率省(DOGE)に対し、マスク氏の企業が受けている補助金の調査を行うべきだと述べ、財政の無駄削減を訴えた。
マスク氏は投稿で「功績にはふさわしい評価をすべきだ」と述べ、「トランプ氏は世界のいくつかの重大な衝突を解決することに成功した」と称賛。あわせて、トランプ氏がトゥルース・ソーシャルに投稿した、ガザ戦争終結に向けた交渉の進展を紹介するスクリーンショットも添付した。
トランプ氏は1日夜、「本日、私の代表団がイスラエル側とガザに関する長時間の有意義な会談を行った。イスラエルは、60日間の停戦を受け入れる条件で合意した。この期間中、関係各国と協力し、戦争の終結を目指す」と投稿。また、「カタールとエジプトも和平の実現に向けて力を尽くしており、最終案を提示する予定だ。中東の安定のために、ハマスがこの合意を受け入れることを望む。拒否すれば、事態はさらに悪化するだろう」と述べた。
1月に大統領に返り咲いて以来、トランプ氏は世界各地の紛争解決に注力している。ガザ戦争の終結を目指すほか、ロシアとウクライナの和平交渉にも関与。6月末には、アメリカがイランの核関連施設に軍事攻撃を行った後、イスラエルとイランの緊張緩和にも取り組んでいる。さらに先週には、ルワンダとコンゴ民主共和国の間で和平合意が成立し、コンゴ東部の戦闘が終結した。
こうした外交成果を受け、トランプ氏の支持者はノーベル平和賞への推薦を表明している。本人は先月、SNSで「賞をもらえるかどうかは重要ではない。国民が理解してくれればそれで十分だ」と述べ、受賞への関心は薄い姿勢を示した。
一方で、マスク氏が称賛の投稿を行った同日、「大きく美しい法案」はアメリカ上院で可決され、下院採決を控えている。7月5日が採決期限となっており、政治的な駆け引きが続いている。
この法案をめぐっては6月初め、トランプ氏とマスク氏がSNS上で激しく応酬。トランプ氏はマスク氏の企業との政府契約を見直す可能性に言及し、これを受けてテスラの株価は急落した。その後、マスク氏が発言を一部撤回し、「言い過ぎた」と認めたことで、株価はやや回復した。
市場データによると、テスラはスウェーデンとデンマークでの販売が6月も減少し、これで6か月連続の下落となった。FactSetによれば、テスラの2024年第2四半期(4〜6月)の納車台数は38万4122台で、前年同期比13.5%減。ただし、第1四半期の約34万台からは増加しており、ウォール街の予想ともおおむね一致した。納車台数はやや期待を下回ったものの、テスラの株価は2日午前の取引で2.4%上昇した。
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