中国で仏教聖地とされる五台山にて、信者が供えた米を僧侶が「古米(ふるまい)だ」と罵り、大殿の外に投げ捨てるという事件が発生した。その様子は動画としてSNS上に拡散され、多くのネットユーザーから「仏門の堕落」とする批判が相次いだ。
問題の僧侶は、黄色の法衣に身を包み、高価な折りたたみスマートフォンを片手に、供物を持参した年配の夫婦に怒声を浴びせた。「たかが一袋の米で願い事をするな。心が不誠実なら、仏を拝む資格はない」と叫びながら供物の米を掴み、容赦なく外に放り投げた。老夫婦が「貧しいながらも誠心を込めてきた」と説明しても、僧侶は聞く耳を持たず、「次からは来るな」と追い払ったという。動画の最後では、失望した老夫婦が地面に落ちた米を拾いながら山を下りる姿が映されている。

世論の炎上を受けて、寺側は事態の収拾を図り、「供養場所の誤解によるトラブル」と弁明、問題の僧侶は事実上の追放処分となった。それでも、世論の怒りは収まらず、この事件を契機に、多くの人々が「本物の聖地はもう存在しないのではないか」と嘆いている。
(供物の米を投げ捨てて信者を罵倒した五台山の僧侶)
仏教経典『仏(佛)説法滅尽経』によれば、釈迦牟尼仏(お釈迦様)はすでに2500年前、「末法の世」に入ると僧侶が魔道に堕ち、欲にまみれて仏法を乱すと預言した。まさにその状況が今の中国仏教界に当てはまる。
実際、中共政権下では仏教、道教、キリスト教を含む宗教を「三教一斉弾圧」の対象とし、寺院の破壊や経典の焼却、僧尼の強制還俗を行っている。

1952 年に成立した中国仏教協会と 1957 年に成立した中国道教協会は、その発起書の中に「人民政府の指導の下」、つまり「無神論」を持つ共産党の指導の下で、活動をすると明白に声明した。
2017年、中国仏教協会副会長の印順(いんじゅん)大和尚が「中共の第19回党大会の報告はまさに現代の仏典」と称賛し、「仏教徒はまず党を愛し、国家を愛してから信仰せよ」と述べて物議を醸した。また2015年には、少林寺の住職・釈永信が買春、愛人、隠し子、数十億元の預金を保有していると中国メディアが報じた。
今の中国では、宗教はもはや道徳の灯ではなく、共産党が人々を統制するための仮面にすぎない。


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