中国各地の宗教団体が、共産党の政治会議「四中全会」(2025年10月末に閉幕)の後、一斉に「党の精神を学ぶ会」を開いた。
会場には共産党の旗やスローガンが掲げられ、仏教の僧侶や道教の修行者たちが整然と並び、真剣な表情で党の方針を学んでいる。
その写真がネットに広まると、「ついにここまで堕ちたのかと思うと胸が痛い」「神ではなく党を信じる時代になったのか」と、衝撃と悲しみの声があふれた。

「信仰より忠誠」へ変わった寺院
共産党の支配が始まって以降、中国では「無神論」が国の根本理念として浸透していった。その過程で、中華伝統の信仰文化は徹底的に破壊され、宗教団体も国家の監督下に置かれた。宗教組織の内部には政府の意向を伝える「中共の代理人」が配置され、実質的には国家宗教局(宗教活動を監督・管理する政府機関)が直接指導している。
1952年に設立された中国仏教協会、1957年に発足した中国道教協会の設立趣意書には「人民政府の指導のもとに」と明記されている。つまり、宗教は「無神論」を掲げる共産党の支配下に組み込まれたということだ。その結果、修行の場であるはずの寺院や道観(どうかん)はいまや「金のなる木」と化した。

信仰を消す「三つの手口」
中国政府の建設部門で上級職にあった何立志氏はかつて本紙の取材に対し、「中国共産党(中共)の宗教政策は、最初から信仰を根絶する計画だった」と証言している。彼によると、1999年に開かれた内部会議で当時の国家宗教局長・葉小文が「われわれの最終目的は、すべての宗教を消し去ることだ」と発言したという。
その方法は3つある。
第一に、宗教指導者を北京に招き、高い地位と待遇を与えて信仰を忘れさせる。
第二に、従わない宗教家を徹底的に弾圧し、投獄して社会から排除する。
第三に、信仰が高い地域では無神論教育を広め、次の世代から信仰心を絶やす。
中共はこの三段階で、宗教そのものを静かに壊していったのである。

信仰を失った社会の行き着く先
数千年にわたり、神仏への信仰心は中国人の道徳を支え、人々の心を高い水準で保ってきた。
しかし、共産党政権の長年の破壊と政治運動、特に十年間に及んだ文化大革命の混乱によって、宗教信仰は衰退し、共産党文化がその座を奪った。
無神論で教育された若者は善悪の基準を失い、年長者は恐怖に沈黙した。伝統建築や文化遺産は破壊され、人と神とのつながりはますます薄れた。
(「仏教の中国化」をテーマにした会議の会場で、中国共産党を称える政治的な曲『没有共产党就没有新中国(共産党がなければ新中国はない)』を歌いながら、中国国旗を手に振る僧侶たち。この歌は「共産党があったからこそ、国が独立し人民が解放された」と繰り返し歌い上げる内容で知られる)
書籍『共産主義の最終目的』(エポックタイムズ編集部出版)はこう記している。
「中国共産党が利益追求と商業化の手法を使って宗教を歪め、宗教団体を自らの「金のなる木」や異論を抑え込むための道具に変えたとき、その時点で宗教というものは、もはや信仰としての意味を失う」
「信者は心のよりどころをなくし、人々は魂の帰る場所を失う。この段階に至れば、共産党はもはや表立って迫害を行わなくても、人を内面から滅ぼすという目的をすでに達成しているのだ」

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