社会 備えと善良な心は、無駄にならない。

「7月5日・日本終末説」が日本観光を直撃 最大5600億円損失の試算も 問われるのは「心の備え」

2025/07/06 更新: 2025/07/06

「2025年7月5日に日本で壊滅的な大地震が起きる」

──そんな「終末予言」が、SNSを通じて日本や中国、香港、台湾などアジア各地で広まり、日本旅行のキャンセルや航空便の減便が相次ぐ事態となった。

きっかけは、日本の漫画家・竜樹 諒(たつき りょう)氏の話題作『私が見た未来 完全版』(飛鳥新社刊)に描かれた「2025年7月に大災難が起きる」という予知夢だった。あとがきには「夢を見た日が現実化する日ならば、次にくる大災難の日は『2025年7月5日』ということになります」と記されており、これが「7月5日大災害説」として急速に拡散された。

さらに、ちょうど6月下旬以降、予言通り、7月5日に本当に壊滅的な地震が来ることを物語るかのように、鹿児島県・トカラ列島で震度1以上の有感地震が1千回を超えて発生していた。

著名な香港の風水師や日本の僧侶も「7月は要警戒」と発言し、香港や台湾からの訪日キャンセルが相次ぐなど、日本観光が直撃を受ける事態に発展した。野村総合研究所は、観光業を中心に最大5600億円の経済損失が出ていると試算している。

「7月5日大地震説」の騒動を受け、気象庁は「予知の情報はデマ、心配無用」と繰り返し呼びかけ、たつき氏本人も番組の取材に対して「2025年7月に災難が起こるという夢を見ただけで、日付までは特定しておりません。ただ、この話題をきっかけに、防災意識が高まったことについては、よいことだと感じています」と冷静な対応を呼びかけた。

それでも不安の波は止まらなかった。SNS上では避難を宣言する人や、災害を楽しむような心無い投稿も見られた。中国のネットでは「日本ではなぜデマの拡散者が罰せられないのか」といった書き込みも見られ、日本の言論の自由に関心が集まった。

幸い、7月5日には予言されたような大災害は起こらず、6日、未だに日本列島は平穏を保っている。だが今回の騒動が、防災意識を見直すきっかけになったとすれば、それは無駄ではなかったと言えるだろう。

今後、本当に世界を巻き込むような大災害が起きるかどうか。それは誰にも分からない。しかし、どう備え、どう生きるかは自分で選べる。

大切なのは、恐れに振り回されるのではなく、日々の中で自分にできる備えを積み重ねていくこと。そして物理的な備えと同じくらい、善良さと神への敬意を忘れずにいること。そうした心の在り方こそが、不確実な時代を生き抜くための最も確かな備えなのかもしれない。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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