中国、甘粛・天水(てんすい)市の私立幼稚園で発覚した集団鉛中毒事件。247人の園児と28人の教職員の血中鉛濃度が基準値を大幅に超えたが、当局は「園側が工業用着色料を食品に混入した」と発表し、6人を逮捕、20人超の官僚を処分した。
しかし、保護者の一部はこの説明に疑問を抱き、子どもを他の医療機関で再検査。その結果、公式発表をはるかに上回る鉛濃度(20倍の例も)が確認されたケースもあり、当局の発表に対する不信感が一気に高まった。
にもかかわらず、当局側は周辺の鉛汚染や当局ぐるみの隠蔽疑惑には一切触れず、わずか20日足らずで打ち出された結論に、疑念の声が噴き出している。

本紙の取材に応じた元貴州省裁判官・林小龍(りん・しょうりゅう)氏は、当局の説明を「でたらめ」と断じ、幼稚園関係者は政府の圧力で罪をかぶせられた責任転嫁の犠牲者だと批判した。

林小龍氏はさらに、学校食堂は権力者の利権と化し、教育予算の中抜きや劣悪な食材使用が常態化していると指摘。かつて自らが関与した学校食堂で使用された腐敗した密輸冷凍肉事件でも、地元政府が問題を隠蔽した経緯を明かした。そして、約20年前に天水市で発生した集団鉛中毒事件を引き合いに出し、「当時も企業と当局が癒着し、事実を隠蔽した。今回も何も変わっていない」と断じた。
表に出たのは、間違いなく氷山の一角である。中国社会に根を張る癒着と隠蔽体質──真の「毒」は、今も深く潜んでいる。

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