7月27日午後、北京密雲(みつうん)水庫を含む市内9か所のダムが同時に放流を開始した。
連日の豪雨により水位が限界を超えたための措置だったが、下流の広範な地域で泥石流や浸水被害が続出し、住宅地や道路が冠水、水・電気・ネットのインフラが寸断され、数万人規模で孤立・避難を余儀なくされた。
(密雲区の被災状況、2025年7月28日北京市)
一方、河北省では密雲水庫と連動する廟宮(びょうきゅう)水庫の放流により、承徳市の複数の村が浸水し、農地やビニールハウスが壊滅。山体崩壊も発生し、少なくとも6人が死亡、10人が行方不明となった。
被災地・隆化県通事営村の住民が本紙に語ったところによれば、「決壊の恐れがあった」として放流が実施され、橋が流され村全体が浸水。現在は断水・停電・通信遮断状態で、避難を強いられた村人たちは「被害は想像以上に深刻だ」と訴えている。
(河北省承徳市の被災状況、2025年7月27日)
毎年のように繰り返されるダム放流と洪水被害に、下流地域の住民は「これは人災だ」と怒りを募らせている。SNS上でも同様の声が噴出しており、最近では内モンゴル自治区フフホト市や貴州省でも、上流ダムの放流によって都市が冠水する事例が相次いだ。
専門家は「中国の洪水の多くは、構造的な腐敗や手抜き工事など、人為的な要因によって深刻化している」と指摘している。
(密雲区の被災状況、2025年7月28日北京市)

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