嘉手納基地から62km 中国人女性が購入した無人島の現在

2025/08/03 更新: 2025/08/03

一部の中国富裕層や企業家層のあいだでは、日本の不動産を購入することがトレンドになっている。

東京・大阪などの都市部を除けば、国際的に見て不動産価格が比較的低いことが主な要因とされ、一部の専門家による中国国内の政策リスク(資産没収、監視、恒大などの不動産不況)への対策として、国外資産の「逃避先」として日本が選ばれるという指摘もあがっている。

そうした中、2023年初頭、沖縄近くの無人島「屋那覇島」の約70万平方メートルを山東省・青島市の中国人女性・張樹清氏が購入したことが、中国だけではなく、日本でも話題となった。

新浪科技(Sina Technology)によると、張樹清氏は中国メディアの取材に対し、島の具体的な開発計画は未定であり、将来的には子供たちに残す資産と考えていると語り、近況を語った。現在はヘリポートを建設中で、社員のチームビルディングに活用する意向も示しているという。

張樹清氏はまた、島について、野生の羊が生息し、毎年多くの人がダイビングやキャンプを楽しむ場所として利用していると説明し、誰もが訪れることを歓迎すると述べている。

ただ近年、世界はこうした中国人の土地購入に対して警戒を強めている。それは中国共産党政府の政策によるものだ。

中国問題に詳しい評論家・唐浩氏は、表向きは個人の投資に見えても、背後に中国共産党や人民解放軍の関与がある可能性があると述べた。

唐浩氏は時事評論チャンネル「世界的十字路口」で、中国人や中国企業による海外の土地・不動産の取得は、アメリカをはじめ各国で懸念を呼んでおり、実際に米国では、テキサス州やフロリダ州などで中国資本による土地購入を制限または禁止する法案が相次いで提出されたと指摘している。

日本でも今回の張樹清氏が購入した屋那覇島の他、北海道の自衛隊基地近くや長崎・佐世保基地の周辺地に中国資本が関与した取引が問題視されている。

唐氏は、中国共産党政府の「国防動員法」や「国家情報法」により、有事の際、民間企業や個人は国家安全保障を理由に、資産提供や情報提供を義務付けられている。これにより、たとえ海外に拠点を持つ企業や個人であっても、中国当局の要請に逆らうことは困難であり、事実上の「国家の手足」として機能させられる状況にあると警鐘を鳴らした。

またこうした土地が将来的に軍事的に利用されるリスクも問題視されている。

取得した土地に、レーダーや通信傍受装置、電磁波妨害装置などを設置すれば、周囲の軍事基地に対する偵察や通信妨害が可能となる。特に屋那覇島は、沖縄の嘉手納基地からわずか62キロの距離にあり、軍事的価値は否定できない。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
関連特集: 社会