2025年の「フォーチュン・グローバル500」が7月29日に米フォーチュ誌により発表された。アメリカはランクインした企業数が最も多く、前年から1社増の138社、中国(香港を含む)は前年から4社減の124社で2位、日本は38社で3位だった。ランキングは2024年の企業売上高に基づいており、利益の有無は影響しない。
首位はウォルマート、米中企業の動向
1位はアメリカ小売大手ウォルマートで、12年連続で世界最大の企業となった。2位は電子商取引大手アマゾンで、両社の利益はそれぞれ194億ドル、592億ドルだった。
ランクインしている中国企業では、国有企業が約70%を占める。上位10社には、国家電網(3位、利益100億ドル)、中国石油天然気集団(ペトロチャイナ)(5位)、中国石油化工集団(シノペック)(6位)の3社が名を連ねた。民間企業では、京東集団(44位、前年比3位上昇)が最高位で、ECプラットフォーム大手拼多多は266位(前年比176位上昇)と最も順位を上げた。
中国企業の課題:利益率の低さ
中国の上位企業数はアメリカとほぼ同等だが、平均売上高はアメリカ企業を下回り、平均利益はアメリカ企業の半分以下にとどまる。全上場企業の平均利益は59.5億ドルに対し、中国企業は42億ドル(全体平均の約70%)、アメリカ企業は97億ドル(全体平均の1.6倍)だった。アメリカの上位企業の総利益は1兆3374億ドルで、全体の45%を占める。
天鈞政経研究所の宋維駿研究員は8月2日、大紀元の取材に対し、「中国企業の『見かけの好調さ』には、深い体制的問題が潜んでいる」と分析。「上位企業の70%が国有企業で、売上は多いが利益が低い。これは、資源と市場の独占にもかかわらず、効率が低く、コストが膨らみすぎ、国の支援策に依存しているためだ」と指摘し、「これが中国の現体制の根本的な問題だ」と述べた。
台湾企業:高い利益率
台湾は6社が上位にランクインし、前年比1社増。総利益は428億ドル、平均利益は約71億ドルで、中国企業の1.7倍に達する。最高位はフォックスコン(28位、利益48億ドル)、最高の利益を上げたのはTSMC(126位、利益361億ドル)だった。一方、台湾中油(494位)は10億ドルの損失を計上した。
中国国有銀行:高い利益と潜在リスク
中国の上位企業で利益トップ10に入ったのは中国工商銀行(利益508億ドル)で、他の三大国有銀行(中国建設銀行466億ドル、農業銀行392億ドル、中国銀行331億ドル)も高利益を記録。宋氏は、「これらの銀行は市場の独占に依存しているが、不動産や政府債務との深い結びつきにより、大きなシステムリスクを抱えている」と警告する。
不動産企業の低迷と民間企業の動向
中国の不動産企業は4社が上位にランクイン。保利集団(199位、利益6億ドル)を除き、万科企業(319位、損失69億ドル)、碧桂園控股(460位、損失46億ドル)、緑地控股(480位、損失22億ドル)は全て赤字だった。保利集団は国有資産監督管理委員会が管理する中央企業で、不動産以外の多角的事業を展開している。
民間企業では、テンセント(利益270億ドル)が最高、拼多多(156億ドル)、京東集団(57億ドル)、BYD(56億ドル)が続く。拼多多の利益は国家電網公司の1.5倍に上る。宋氏は、「京東や拼多多などの民間企業はグローバル化と技術革新で成長しているが、政策の不確実性や政府の厳しい監視下にある。経済低迷と財政縮小の中、共産党が民間企業を真に保護するかどうかが、持続的成長の鍵だ」と述べ、短期的な好業績が長期的な課題を見えづらくしていると指摘した。
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