山口県・瀬戸内海に浮かぶ、人口わずか7人の離島・笠佐島で、中国資本による土地取得が相次いでいる。同島は海上自衛隊呉基地やアメリカ軍岩国基地の近隣に位置しており、安全保障上の重大な懸念として波紋が広がっている。
この問題を受け、吉川里奈衆院議員は「外国資本による土地買収が安全保障に与える影響」に関する政府の見解を問う質問主意書を提出した。
吉川議員は、笠佐島や沖縄県屋那覇島などで中国系企業による不動産取得が続いている実態を指摘。「地政学的に重要な場所での土地買収は、単なる経済活動ではなく、国防や主権の観点から重大な問題だ」と訴える。
背景には、日本の土地取引に関する法制度の脆弱さがある。他国では、外国人による土地取得に事前審査や厳しい制限を設けているのに対し、日本はGATS(サービス貿易一般協定)批准後、原則として外国人にも日本人と同様の不動産取得を認めてきた。
2022年施行の「重要土地等調査法」により、重要施設周辺や国境離島での土地利用・取引に関する調査・規制は進んでいるものの、売買そのものを直接規制する仕組みではなく、実効性を問う声も上がっている。
多くの住民や有識者は、中国の「国家情報法」などにより、有事の際に中国人が所有する海外資産が中国政府の戦略的リソースとして利用されるリスクがあるとして、警戒感を強めている。
質問主意書では、以下のような観点で政府に見解と対応を求めている。
現状把握:笠佐島周辺での中国資本による土地取得の実態をどこまで把握しているか。
制度改正:アメリカやオーストラリアのように、安全保障上重要な地域での土地取得に事前審査・承認制度を導入する考えがあるか。
地元関与の仕組み:離島などでの土地売買時、住民や自治体が意見を述べる法的手段の有無。
法制度の限界と対応:現行法の対象外であっても、安全保障上の懸念が認められた場合に売買契約の無効化など国が介入できるのか。
流通経路の可視化:土地取引に関わる仲介業者や流通経路の把握状況。
相互主義:相手国で日本人の土地取得が制限されている場合、日本でも同様の制限を導入すべきではないか。
リスク分析:「国家情報法」による日本への潜在的影響について、政府はどのように分析・対応しているか。
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