劉建超に拘束報道 中国共産党中央対外連絡部長に突如の調査

2025/08/11 更新: 2025/08/11

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは米国時間8月9日、複数の関係者の話として、中国共産党(中共)中央対外連絡部の部長である劉建超(61)が、中国当局に拘束され、取り調べを受けていると報じた。複数の報道機関もこの情報を確認している。現時点で中共政権から公式な説明は出ていない。

報道によれば、劉は7月末、海外出張から北京に戻った直後に当局によって連行されたとされる。拘束の理由については一切明らかにされておらず、党中央対外連絡部や中共関連部局も問い合わせに回答していない。

劉建超は2022年から党中央対外連絡部のトップとして、世界約20カ国以上を歴訪し、160カ国以上の政府要人と会談するなど、中国外交の中心的役割を担ってきた。特に、2024年初頭に米国ワシントンでブリンケン国務長官らと会談するなど、その活発な外交活動が注目され、次期外相の最有力候補と位置づけられていた。

劉建超は、日本の政府要人や与野党の主要人物とも複数回会談している。2024年5月29日には、日本の岸田文雄首相(当時)を公式に表敬訪問し、首相官邸で意見交換を行った。この際、上川陽子外務大臣(当時)とも約35分間の会談を実施し、戦略的互恵関係の推進や様々な課題について議論している。また、今年1月には北京で開催された「日中与党交流協議会」で自民党の森山裕幹事長、公明党の斉藤鉄夫代表ら日本側与党幹部とも直接会談している。

さらに複数の日本の与党・野党幹部、日中友好議員連盟などともたびたび交流し、日本の政界との意思疎通を重視する立場をとっていた。

劉の拘束は、2023年に発覚した前外相・秦剛の更迭以来、最も大きな外交官への調査となる。秦剛も突然姿を消し、後に党の内部調査やスキャンダルが伝えられた経緯がある。今回の劉に関する拘束についても、公式な説明や容疑の内容は現時点で報道されていないため、事実関係の全容は不明だ。

劉氏は吉林省出身で、北京外国語大学で英語を専攻し、その後オックスフォード大学で国際関係を学んだ。中国外務省で通訳官からスタートし、英国大使館や在インドネシア・在フィリピン大使を歴任、外務省報道官としても知られている。その後、党の紀律検査部門などの要職を経験した経歴がある。

中国共産党は近年、多くの高官が取り調べや処分を受けている。劉のような外交の中枢にいた人物まで拘束されたことで、今後の中国外交や党内人事への影響が注目されている。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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